“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第54回は、目黒通り沿いの上大崎交差点そばにあるインドネシアレストラン｢CABE(チャベ)目黒店｣をピックアップ。

今年で創業20周年を迎える｢チャべ｣は、インドネシア ジャワ島に留学経験のある大平正樹氏によって武蔵小山の地でオープン。開業まもなく大平氏がかつて働いていた六本木のインドネシアレストランで同僚だった現料理長のスタミさんが調理担当に加わると、本場の味を求める人たちの間ですぐに話題となり人気に。しかし、両手を広げれば壁に手が届くほど手狭なキッチンだったこともあり、スタミさんに思い切っきり腕を振るって欲しいとの想いからレストラン開業を目指して2004年に法人化。翌年、大島神社近くに待望の｢チャべ目黒店｣をオープンさせた。その後、ビルの建て替え工事に伴い、2016年に現在の場所に移転するのだが、もともとこの場所は東京で最古のインドネシアレストラン｢せでるはな｣が営業していたスペースで、同店のオーナーだったジュリ氏が移転先を探していた大平氏に｢私はもう引退するから｣と、快く譲ってくれたことから決まったのだという。

インドネシア語で“唐辛子”を意味する｢チャべ｣には、国籍も世代も超えた様々な人が集まってくる。訪れる人が楽しそうに食事をする様子は、インドネシアの国是でもある“Bhinneka Tunggal Ika ～多様性の中の統一～”のようだと大平氏は語る。｢チャべ｣はヴィーガン専門店ではないが、料理長のスタミさんがイスラム教徒ということもあり、厳格なイスラム法で許容されているハラルフードを中心に提供しており、宗教上の禁忌である豚肉および豚由来成分のメニューは一切ない。同様に禁じられているアルコールに関しては、イスラム教徒以外の人のために提供はしているが、アルコールとそれ以外の飲料のグラスを分けて扱うなど、実に徹底されている。そのため、異なる宗教や価値観を持つ人同士が同じテーブルを囲み、一緒に食事を楽しめるのが｢チャべ｣というお店の良さだ。