“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第96回は、鎌倉にある“ヴィーガンフード×薬草BAR”のカフェ、｢COTONOHA 長谷(コトノハ ハセ)｣をピックアップ。

江ノ電の長谷駅から徒歩3分、海まで6分ほどの好立地に店舗を構える｢COTONOHA 長谷｣。元々、北鎌倉初のヴィーガンカフェとして2021年にオープンし、観光客や地域の人に親しまれてきたが、老朽化に伴う建物取り壊しのため惜しまれながらクローズ。その後も、藤沢のシェアカフェでの営業やフードトラックのお弁当販売などを続け、今年4月15日に観光スポットとして人気の高い長谷エリアの路地裏に移転リニューアルオープンと相成った。戦前から残る昭和初期の古民家を改修した趣のある空間は、10年間使われていなかったものをオーナーの野中芳絵氏自ら壁に漆喰を塗るなど、手を入れることで新たな息を吹き込んだ。靴を脱いでくつろげる畳敷きの部屋をはじめ、四季折々に表情を変える庭木を望む縁側デッキ席はドッグフリーにするなど、どこかほっと癒されるような安らぎのスペースとなっている。

お店のコンセプトは｢たまにはお野菜、おいしくて嘘のないヴィーガン料理｣。動物性食材を使用しないだけでなく、無添加、無化調にこだわっており、出汁は昆布とどんこを使って丁寧にひいている。今でこそ、国内外からの観光客で行列することも珍しくない｢COTONOHA 長谷｣だが、その道のりは決して順風満帆ではなかったという。当初は玄米菜食料理をメインとしていたが、長引くコロナ禍の影響で料理長が店を離れることになり、その際、紹介されたのが現在もメニュー監修を手掛けるベジフードプロデューサーの千葉芽弓氏。野中氏自身は菜食主義者ではなく、お肉を含めて何でも美味しく食べられることもあり、お店の窮地を救うために藁をもすがる想いで選んだのがヴィーガンだったのだ。そのため、今でもヴィーガンへのスタンスは是々非々であり、お客さんにもこちらの価値観を押し付けたくないと念を押す。それでも、様々な試行錯誤を経て現在のように外国から訪れたお客さんが喜んでくれたり、ヴィーガンに懐疑的だった人がその美味しさに気付いてくれる様子を見ると本当に嬉しいのだと語る。今では、限られた食材でここまで食の可能性が広がるのかと楽しみになったというから、野中氏もヴィーガンに対する意識が大きく変化したのだろう。

店舗での営業に加え、フードトラックを利用して各地で行われるマルシェやイベントなどにも積極的に出店。よりカジュアルで身近に感じられるヴィーガンフードとオーガニックドリンクなどを提供し、間口を広げることで老若男女、世界中の人たちに愛されるカフェを目指しているのだという。