NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT DEC, 2024
隈研吾デザインのサステナブルな空間で楽しむ,
日本の食文化とカリフォルニア料理の新たな融合。
LIFE STYLE Jun 12, 2023
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第97回は東京、蔵前にある“サステナブル”をテーマにしたカフェレストラン「KAWA KITCHEN(カワ キッチン)」をピックアップ。
東京スカイツリーを見渡しながら、隅田川を眼下に臨む絶好のロケーションに位置する「カワ キッチン」。川沿いにある下町らしい風景や、古くからの倉庫街をリノベーションしたショップが立ち並ぶという共通点から、“日本のブルックリン”とも呼ばれるこのエリアに、日本文化の歴史と伝統の素晴らしさを発信するカフェとしてオープンしたのが、2023年2月のこと。お店を運営する「スライバル」社は、使い捨てプラスチックの削減を目指すライフスタイルブランド「S.(エスドット)」を手掛けるなど、数多くのサステナビリティに関連した事業を推進してきた。これまで実店舗を展開していなかったが、「エスドット」を始めとする持続可能な社会を実現するプロダクトを実際に手に取ってみたり、サステナビリティの本質を理解する“場”を提供することで、より良い社会の実現に寄与できるのではという想いから、「カワ キッチン」をオープンしたのだという。
世界的な建築家、隈研吾氏がデザインを手掛けた空間は、棚や階段の手すりなどに通常、廃棄されてしまう流木を再利用。天井を伝う消火ホースやペットボトルをアップサイクルした照明など、随所に“サステナブル”というテーマを体現したインテリアやエクステリアが採用されている。建物の1階部分は、「エスドット」の製品や厳選したアイテムを集めたセレクトショップとなっており、オンラインで人気の竹歯ブラシやデンタルフロスなどが並ぶ。
階段を上った2階にあるのが「カワ キッチン」で、サステナブルな食材を活用した健康志向のフードメニューやドリンクを提案。蔵前という地名自体が、江戸時代に御米蔵があったことに由来しているのにあやかって、日本の代表的な食材「米と茶」を使ったこの国の食文化とモダンなカリフォルニア料理を独自に融合させた。また、様々な食文化を持つ人同士が一堂に集まれる場所にしたいと考え、グルテンフリー、ベジタリアンに加え、基本は菜食がメインで、外食時には肉や魚を食べることもあるフレキシタリアン、さらにハラルなどに対応した料理を提供する。化学調味料や保存料、人工香料などは一切使用しないのも特徴で、美味しさと健康を同時に提供することを目指しているのだという。
ほぼすべてのフードメニューやスイーツ、ドリンクメニューはテイクアウトにも対応。特に「MINOR FIGURES(マイナーフィギュアズ)」ブランドの植物性ミルクを使ったラテやカフェオレは、クセがないのにコク深く非常に好評だという。蔵前散策のお供としてもおすすめだ。
「カワ キッチン」が目指すのは、ただのカフェではなく、同じ価値観を持つお客さんやそこに携わるブランド、企業が繋がるコミュニティスペースとしての役割を備えた場所であるという。そのため、隈研吾氏が手掛けた建築の特徴や、アップサイクル素材の建築における活用方法を紹介した無料のデザインツアーをはじめ、ブランドやメーカーのポップアップ、さらにカフェを利用しなくても無料でお湯や冷水、常温の水を提供する「FREE WATER REFILL(フリー ウォーター リファイル)」サービスの実施など、お店を介した様々な取り組みを行っている。「カワ キッチン」を通じて、誰もが気軽に楽しくサステナビリティへの意識を高めてもらいたいという彼らの想いは、ゆっくりと、ただ着実に浸透してきているに違いない。
東京都台東区蔵前2ー10ー11
TEL 050-8884-9950
www.instagram.com/kawakitchen.jp