デンマーク、コペンハーゲンにある最新鋭のゴミ処理施設を伴う人工の山｢コペンヒル｣の完成までに密着したドキュメンタリー映画｢コペンハーゲンに山を｣が、1月14日(土)シアター・イメージフォーラム他にて全国公開される。

2011年、デンマークの首都コペンハーゲンにある老朽化したゴミ処理施設建て替えのコンペ結果発表会が行われた。満場一致で選ばれたのは、デンマークのスター建築家、ビャルケ・インゲルス率いるBIG建築事務所。ニューヨークの新しい第2ワールドトレンドセンターやグーグルの本社屋、さらにトヨタ自動車による都市プロジェクト｢ウーブン・シティ｣などの設計を手掛ける世界的な建築事務所である。彼らのアイデアは飛び抜けて奇抜で、巨大なゴミ焼却発電所の屋根にスキー場を併設し、コペンハーゲンに新たなランドマークを作るというものだった。しかし、カメラは完成までの過程で、苦難の連続を追うことになる。ゴミ焼却発電所とスキー場はどう建造物として共存できるのか? 予算内に完成するのか? 次々と疑問や課題が山積みになっていく──。

そして、数々の難題を乗り越え2019年10月、コペンハーゲンに新しい山｢コペンヒル｣が誕生。完成までに費やした時間は9年、かかった費用は約5億ユーロ(700億円超)。デンマークの景色を一望できるこの人工的な山の標高は85m、全長450mでゲレンデ幅は60m。4つのリフトでスキーが楽しめる。同時にゴミで再生可能エネルギーを作る最新鋭のゴミ焼却発電所で、年間3万世帯分の電力と7万2000世帯分の暖房用温水を供給できるという。屋上にはレストランやハイキングとランニングコース、壁には世界一高い85mのクライミングウォールが設置されている夢のような施設へと生まれ変わったのだ。

本作では、ミーティングや建設の様子などを記録した400時間にも及ぶ膨大なフッテージを基にドキュメンタリー化。市との調整や資金調達などの難しいミーティングはあえて使わず、建物を主人公に据えることで奇想天外なアイデアやスケールの大きさをダイレクトに伝えることに注力した。また、劇伴には荘厳なクラシック音楽を使い、建物を2分間ズームする映像で音楽を際立たせるなど、様々な工夫を凝らした演出が施されている。