NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT MAR, 2025
“美味しく, 楽しい”食体験を通じてSDGsを学ぶ。
サステナブルな食文化を未来へと繋ぐレストラン。
LIFE STYLE Jul 31, 2023
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第103回は、おいしく、楽しく、サステナブルな食体験を提供する北青山のレストラン「ITOCHU SDGs STUDIO RESTAURANT 星のキッチン」をピックアップ。
去る7月21日にオープンしたばかりの「星のキッチン」は、「食」という体験を通じて、気軽にSDGsを体感できるレストラン。運営を手掛けるのは、日本を代表する商社の伊藤忠商事。同社では、人と商いを繋ぎながら、それぞれ自分に合ったSDGsとの関わり方に出会える場を一般に提供し、みんなで問題解決を目指すプロジェクト「ITOCHU SDGs STUDIO」を開設。これまでキッズパークやアート展、ラジオプログラムなどを展開しており、今回紹介する「星のキッチン」もその一環となる。他の施設やプログラム同様にオープンマインドなのが特徴で、SDGsに対して敷居の高さを感じる人たちに固定観念を変化させ、“未来に向けたサステナブルな食文化を広げる”第一歩としての役割を担う。そのため、何より「おいしい、楽しい」体験であることを大切にしながら、「食」に対する純粋なワクワク感の先でSDGsの学びを得られる機会の提供を目指すという。
気軽にSDGsに触れて欲しいという考えは、メニュー構成にも表れている。有機野菜、地産地消と旬のもの、フェアトレード、アニマルウェルフェアなど、多様な食のサステナブルの在り方を考慮した食材を使用。それらの食材を使いながら、日本で洋食の普及を加速させたファミリーレストランをお手本に“子供から大人までみんなが好きな定番メニュー”として提供する。メニュー開発に関しても「日本サステイナブル・レストラン協会」に監修協力を仰ぎ、地球環境や社会への負荷や影響の低減に配慮した料理に仕上げるなど、そのこだわりは細部にまで及ぶ。
「おいしい、楽しい」体験を楽しめるメニューの代表例が、「未来をおいしく選ぶ“サステナブル・トッピングバー”」だ。多彩なサステナブル食材を自由に選んでサラダやアイスクリームをカスタマイズするもので、食材の背景やストーリーに触れると共に、未来の地球に想いを馳せるワクワク感を味わうことができる。トッピングバー付きのメニューは、「本日の有機野菜のハーベストグリーンサラダ」や「紅富士とハーブ・マメマージュのサラダ」、「大地のジャンボポテトサラダ」など、多数用意しているので、何度通っても食べ飽きることなく、常に新鮮な驚きを享受できる。
ファミリーレストランがお手本とあって、ドリンクやスイーツ類も充実。100%ナチュラルなアイスクリームにこだわる「ハンデルスベーゲン」と「beans=豆」を美味しく食べることでより良い環境と健康を目指すプラントベースドブランド「wellbeans(ウェルビーンズ)」とのコラボレーションスイーツもラインナップ。「Dole®」の“もったいないバナナ”を使用したパルフェも含めて、世界中のネットワークを駆使した豊富な食材や意外性に富んだ協業などは、商社ならではの特性が存分に活かされている。数あるデザートメニューの中でも出色なのが、生クリームや卵など動物性の食材を一切使用しないプラントベーススイーツだ。豆乳を低脂肪豆乳(うま味)と豆乳クリーム(こく味)に分ける特許取得のUSS(Ultra Soy Separation)製法を使い、濃厚なコクと風味を創出。植物性とは思えない濃厚な美味しさに加え、コレストロールも0mgなのでヘルシー志向の人にもおすすめだ。
「星のキッチン」では、レストラン事業だけでなくメインダイニングに併設されたイベントスペースを一般に開放。「星のキッチン Hanare」と名付けられた同スペースでは、サステナブルな飲食事業に取り組む食材、食品メーカーや飲食店などに無償で場所を提供し、ポップアップストアやワークショップ等の展開を促進する。また、店舗で使用する食器は中古品として販売される業務用食器をリユースし、新たなデザインを施すことで環境負荷低減に繋げる活動(テーブルウェアリユースプロジェクト“TRANSFER”)をはじめ、レストランから出た廃食用油をハンドソープに再資源化したり、食品廃物を微生物の働き(メタン発酵)によってバイオガスにリサイクルし、発電の燃料として活用するなど、有機廃棄物のリサイクルにも積極的に取り組んでいる。
今や内容よりもその名称だけが先歩きしている感もある「SDGs」。実際に17項目の目標をすべて覚えている人はかなり少ないはずだ。それだけに、お仕着せの講義や観念的な教え方ではなく、「食」という普遍的な行為、しかも“おいしさ”や“楽しさ”を押し出した「星のキッチン」のアプローチは、シンプルだが極めて有用だろう。特にこれからの将来を担う子供たちにとっては、効果的かつ有意義な体験であることは間違いない。持続可能な未来に向けて今、自分に何ができるのかを考えてみる。未来志向のアクションのきっかけを、ぜひ「星のキッチン」で見つけてみてはいかがだろう。
東京都港区北青山2-3-1(伊藤忠商事 東京本社敷地内 Itochu Garden)
営業時間:11:00〜21:00(L.O.20:30)
定休日:月曜日(月曜日が休日の場合、翌営業日が休業)
www.itochu.co.jp/ja/hoshinokitchen