“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第95回は、今年でオープン10周年を迎えた神戸、元町にある｢YIDAKI CAFE(イダキ カフェ)｣をピックアップ。

｢イダキ カフェ｣で提供されるフードメニューは、100%ヴィーガンオンリー。スイーツなどは一部乳製品を使っているメニューもあり、ヴィーガン以外の人もオプションとして選べるような配慮がされている。中でもこだわっているのが自家栽培の野菜だ。坂本氏は元々、カフェをオープンする際、外食の中でも外部からの依存度が低い自立した業態を目指しており、菜食のヴィーガン料理は自分の手で野菜が育てられる点も大きな魅力だったという。

始めてから3年が経つという自前の畑では、無農薬はもちろん、土を耕さない農業＝不耕起栽培に挑戦。まだまだ本格的なレベルではないと謙遜するものの、長い目で見て持続できない農業をやるくらいだったら、わざわざ自分で畑をやる必要はないと断言する。とはいえ、“サステナブル”という理想を追求するあまり、現在の経済社会から完全に距離を置いてしまう人たちを見ていると、本来目指すべき“サステナブル”の本質とは違うのではないかという疑問を抱く。様々な想いや考えを巡らす中で、坂本氏が辿り着いたのがまずはプライベートも含めて自給自足に近いライフスタイルの志向。ただ商売をする以上、資本主義経済を否定すると矛盾が出てきてしまう。その大きな経済の枠組みに留まりながら、あえて中心を外れた新しい商いの形を模索した結果、10年続いた現在のお店に落ち着いたという。今では自家栽培の野菜をメニューに取り入れるだけでなく、店内に備えたロースターでコーヒーを焙煎したり、時には畑で作った野菜を店頭販売するなど、思い描いた“サステナブル”の輪は徐々に広がってきているようだ。

お店は11時〜21時までの通し営業で、昼と夜ではメニューが異なる。ランチで人気なのは、メインと副菜に玄米ごはんや汁物がセットになったワンプレート。月替わりのメニューなので、飽きることなく色々な惣菜を楽しめるのが嬉しい。また、名物のひとつでもあるひよこ豆を使ったフムスは、バゲットサンドや薄皮のトルティーヤで包んだラップサンドなどで楽しめる。フードメニュー以外にも、旬のフルーツを使ったヴィーガンスイーツやコロナ禍以降で提供を始めたナチュールワインなども充実しており、様々なシチュエーションで利用できるのもポイント。