100%植物性由来のパンを提供する｢UNIVERSAL BAKES AND CAFE｣は、2020年5月のオープン。店名の由来となった“ユニバーサルデザイン”と同じように、国籍や出自、文化に宗教、さらに趣味嗜好に至るまで様々な価値観や考え方を持つ者、そのすべてにとって美味しい食べ物を提供したいとの想いから、動物性食品を一切使用しないヴィーガン100%のパンに辿り着いた。ヴィーガンから連想されるストイックな姿勢と、お店が提案する敷居が低く間口の広いスタイルは相反するようにも思えるが、そこには店主である大皿彩子をはじめ、スタッフに共通する食への旺盛な好奇心と、菜食主義であろうとなかろうと“誰も置き去りにしない”という、幸せを分かち合うマインドによって結び付いている。パンにとっては不可欠ともいえるバターや卵の代替品をあてはめるのではなく、植物性素材だけを作って美味しいものを作ってやろうという気概とプライド、そして新たな発想やアイデアを含めた美味しいものへの探究心が原動力となって生み出されたパンは、お店を訪れる多くの人たちを惹きつけている。

店主の大皿彩子は、2016年に｢Alaska zwei｣というヴィーガン料理を提供するカフェを中目黒にオープン。今回紹介する｢UNIVERSAL BAKES AND CAFE｣は、彼女にとって2つめのお店となる。もともと、ドイツのベルリンを訪れた際に、現地の若者が菜食主義を含む友達同士で同じテーブルを囲み、気軽にヴィーガン料理を楽しんでいる光景を目にした。彼女はそこで、すべての食文化を理解出来ないとしても誰かを否定することなく、みんなが同じように美味しいと感じられるヴィーガン料理にひとつの幸せの形を見たという。大村が掲げる“誰も置き去りにしない”というメッセージの源泉を辿れば、その時の体験に行き着くのかもしれない。

店頭には、1日で約40種類のパンが並ぶ。人気のクロワッサンは、全粒粉の生地にマカダミアナッツを練り込んだもの。動物性のバターではなく大豆バターを使った軽やかな味わいは、サクサクとした食感も相まって何個でも食べられそうだ。薄力粉との配合バランスや、米油とオーガニックショートニングを使って小麦粉内のグルテンを徹底的に抑えた生地を使ったメロンパンも人気の一品。バターではなくココナツを配合したクッキー部分は、繊細な食感とふんわり香るココナツの風味がベストバランス。その優しい甘さは、乳製品アレルギーを抱える子供たちからの圧倒的な支持を獲得しているのも頷ける。他にも、米麹を使って発酵させた｢TOKYO VEGAN 食パン｣は、力強い旨味と噛めば噛むほど感じる滋味深い味わいでで毎日食べても飽きることがない。

上記の定番以外にもシナモンロールや有機粒あんぱん、ミルクフランスといった菓子パンから、多種多様な惣菜パンや食事パンにスコーンなど、ヴィーガン仕様とは思えないほどバラエティに富んだラインナップが日替わりで登場。イートインでは、コーヒーや季節のジュースをはじめとする多彩なドリンクメニューのほかに、スープやフレンチトーストなどの限定メニューも展開する。