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「エル・ブジ」の天才料理人も絶賛! 代替肉の
トップブランドが手掛けるコンセプトストア。
LIFE STYLE Apr 18, 2022
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第45回は、プラントベースドミート(代替肉。以下、PBM)のトップブランドが手掛ける世界初のコンセプトストア「THE VEGETARIAN BUTCHER(ベジタリアンブッチャー)」をピックアップ。
“サステナブルな未来型レストラン”をコンセプトにした「ベジタリアンブッチャー」は、2020年8月、池袋西口にオープン。現在、世界45カ国で展開するなど、PBMの分野で急成長を遂げるオランダ ハーグ発の同名ブランドが手掛ける世界唯一のコンセプトストアとなる。まずは、ブランドについての説明を。創設者であるヤープ・コルテウェグは、もともと親から引き継いだ農業を営んでいたが、90年代末期にオランダ全土を襲った豚インフルエンザと狂牛病の流行をきっかけに動物への接し方に疑問を感じ、“従来の食肉システムを変える必要がある”と決意。著名なシェフや科学者に協力を仰ぎ、長い歳月をかけて研究した結果、動物性と同等もしくはそれ以上のPBMの開発に成功する。その評判はたちまち知れ渡り、世界中のスーパーや小売店、レストランで「ベジタリアンブッチャー」ブランドの製品が展開され、「スターバックス コーヒー」、「ドミノ・ピザ」、「バーガーキング」 などと協業を行い、ヴィーガン/ベジタリアン向けのメニューを開発するなど、一躍トップブランドへと成長。各国の企業を対象に持続可能な環境、社会への取り組みを評価する「サステナブルブランド・インデックス 2022」において、オランダで第1位を受賞するなど、PBMのパイオニアとして国内外から高い評価を博している。
改めて、コンセプトストアに話を戻そう。本ストアでは、「ベジタリアンブッチャー」ブランドのPBMを使い、国内で活躍する人気シェフが開発に携わった本格的なメニューを展開。すべてのメニューがヴィーガン対応ではないが、動物にストレスをかけないよう平飼いで育てたケージフリーエッグやケージフリーミルク、さらに原産地に生息する生物や森林に悪影響を及ぼさないよう、厳しい基準を設けたRSPO認証を得たパーム油の使用を約束している。また、フードロスの観点から店内に専用の冷蔵庫「フードシェアリングフリッジ」を設置し、余った食材や、キャンセルオーダーになった料理を誰もが自由に持ち帰られるようにしたり、店内での食べ残しは専用のTO GO BOXの利用を推奨したりと、食の廃棄を減らす取り込みにも積極的に寄与。お店だけが意識するのではなく、お客さんを巻き込んで共に問題を解決しようとする試みからは、真摯な姿勢と本気度が伺える。
コンセプトストアを謳っているだけあって、レストラン以外にも充実。店内にはPBM専門の肉屋が併設し、全商品1グラム2円からの量り売りを行っている(マイ容器を持参すると100円引き)。また、店内の一角に設けられた都市型農園「アーバンファーミング」では、LEDライトを使用した無農薬の水耕栽培を行っており、こちらで育てたサニーレタスやパセリ、バジルなどはお店の料理に使われる。また、店内やオンラインなどで販売されるオリジナルTシャツは、廃棄予定の野菜で染められた生地が使われるなど、環境への配慮は隅々にまで息衝いているのだ。加えて、今年3月には、ショップインショップとして「ETHICAL CONVENI(エシカル コンビニ)」がオープン。地球環境や生産背景に配慮した衣類、食品、雑貨など全100ブランドもの商品が並ぶ。もちろん、これらの併設ショップはレストランを利用しなくても買い物ができる。
かつて、“世界一予約が取れない店”と言われたバルセロナのレストラン「エル・ブジ」の天才料理人、フェラン・アドリアは「ベジタリアンブッチャー」のPBMを「本物の豚肉より柔らかく、鶏肉よりもジューシー!」と絶賛したという。また、2013年に開催された雑誌主催のミートボールを使ったフードコンテストでは、参加者45人中44人が本物の肉を使用する中、唯一「ベジタリアンブッチャー」のPBMを使ったシェフが3位にランクインするなど、毎年数えきれないほどの賞を獲得している。もはや肉の代替品としてではなく、動物性食品を含めた数ある選択肢の中から選ばれるほど飛躍的にクオリティは向上しているのだ。日々進化するPBMの最前線を体感したいのであれば、まずは「ベジタリアンブッチャー」に足を運ぶべきである。
東京都豊島区西池袋3‐29‐9 C3ビルB1F
TEL 03-6903-1211
www.thevegetarian-butcher-jap.com