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ブルックリンスタイルの“街の食堂”で味わう,
自家製トルティーヤを使ったヴィーガンタコス。
LIFE STYLE Apr 11, 2022
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第44回は、メキシカンタコスを中心としたニューヨークスタイルのメキシコ料理が楽しめる「北出食堂」をピックアップ。
千代田区岩本町の神田金物通り沿いに位置する「北出食堂」は、2013年12月にオープン。国内外の飲食店で研鑽を積んだ店主、北出茂雄氏とニューヨーク、ブルックリンで数々のレストランを営む鈴木誠氏が共同で作り上げた。ブルックリンの工場をコンセプトにした空間は、インダストリアルな佇まいのアイアン製フロアやオープンステアと、ウッディな什器が調和した落ち着きのある雰囲気を醸している。また、人の手の温かさを感じるクラフト感を大切にし、テーブルや棚などはスタッフ自らがDIYで制作するなど、細部にもこだわりが。自由な発想から生まれる日本独自のメキシカンメニューを取り揃えるが、子供からお年寄りまで気軽に入れる“街の食堂”を目指して、お店を訪れる人たちが心からリラックスし、スタッフも仲間をハグするような感覚でもてなしたいという。その為に、使用する食材は無添加や非遺伝子組み換えのものにこだわっており、子供に食べさせられないものや、生産背景が分からないような既製品は使わないという自分たちなりのルールを課している。
お店自体はヴィーガン専門店ではないが、立地的に日本橋や秋葉原が近いことから外国人観光客も多く、また日本でも菜食主義の人が増えていることに着目して、ヴィーガン向けのメニューにも力を入れている。シグネチャーは、1枚ずつ手で焼いた熱々のトルティーヤに様々な具材を包んで味わうタコス。かつて、北出氏の友人のメキシコ人が、「トルティーヤに包めば、それはみんなタコスだ!」と教わり、その自由度の高さに惹かれたとあって、スタンダードな具材からしめ鯖などのオリジナル具材まで、全10種類からなる豊富なバリエーションが魅力。テンペやマッシュルームなど、ヴィーガンやベジタリアンが楽しめるタコスも数多い。
また、トルティーヤは、北海道産トウモロコシ100%の乾燥トウモロコシを原料に自社工場で生産したもので、世界で自分たちしか作っていないと胸を張る。トルティーヤに適している香りが高く、甘みが少ない品種が日本では極めて少ないことや、コスト面の問題(日本のトウモロコシ1本の値段と、メキシコの乾燥トウモロコシ1kgがほぼ同額)もあり、実現するまでには様々な苦労があったという。自家製トルティーヤへのこだわりについては、オフィシャルサイトに詳しく掲載されているので、ぜひご一読を。その苦労と努力が結実した世界初のトルティーヤは、豊かな香りはもちろん、栄養価が高くグルテンフリーということもあって、オンラインショップで販売されるとすぐに売り切れになるほど人気も高い。
ランチタイム限定の「日替わりタコスプレート」も人気だが、具沢山のタコスを頬張り、アルコールで流し込む至福の喜びを享受するならディナータイムがおすすめ。軽快な後口のメキシコビールや爽やかなモヒート、ビオワインといった多彩なアルコール類に加え、お酒を飲めない人の為にノンアルコールドリンクも豊富に用意されている。
安心、安全な食材にこだわる「北出食堂」だが、そこには共同代表を務める鈴木誠氏による“食べ物で日本を変えたい”という想いが通底している。鈴木氏は、東日本大震災の後にレンタカーで被災地を回った経験から、“食”が持つ力を再認識したという。そのため、無農薬低農薬栽培の農家を支えるために、テクノロジーを駆使して物流やマーケティングを最適化し、新たな受発注のシステムを構築するなど、“生産者と消費者をつなぐ、新たな仕組み”作りにも積極的に取り組んでいる。日本で暮らす人たちに安全で太陽の匂いのする大地の恵みを届けて、人々の生きる喜びを喚起するのが目指すべき道だと付け加えた。壮大な夢かもしれないが、絶対に無理だと言われた国産トルティーヤをゼロから実現したように、彼らの努力が身を結ぶ日もいつかきっと来るだろう。
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