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イベントでの口コミが評判を呼び待望の路面店へ。
ヴィーガンバーガー専門店が二子玉川にオープン!
LIFE STYLE Dec 19, 2022
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第75回は、12月16日(金)に路面店をオープンさせたばかりのヴィーガンバーガー専門店「Righteous Burger(ライチャスバーガー)」をピックアップ。
本連載の第25回でも紹介した「ライチャスバーガー」は、2021年9月に開業。これまで、六本木エリアを中心としたデリバリーとフードトラックでのイベント出店をメインとしてきたが、徐々に口コミが広がり、お客さんから実店舗がないのか聞かれることが多くなってきたという。そのため、開業からわずか1年余りで二子玉川駅と用賀駅の中ほどという好立地に待望の路面店をオープンさせることになった。
地球環境の保護や心身の健康を掲げるヴィーガン専門店が多い中で、「ライチャスバーガー」が目指すものはより具体的で明確だ。彼らは単に肉の代替品としての商品を売るのではなく、ヴィーガンという文化をスケートやサーフィン、スノーボード、音楽、ファッションなどとクロスオーバーしたサブカルチャーのひとつとして確立し、より多くの若者たちに届けたいのだという。ジェネラルマネージャーを務める山口博久氏は、シェフ業の傍ら現在もハードコアバンドのギタリストとしても活動中。かつて海外ツアー中に出会ったストレートエッジやクリシュナといった禁欲的な思想に即したライフスタイルを送るバンド仲間たちと交流を深めるうちに、ヴィーガンカルチャーの影響を受けたと語っている。ただ、消費者が「ライチャスバーガー」をきっかけにヴィーガンへと興味を持ったとしても、そこから先に何を考え、自身の中でどのように消化し、その先にどう繋げていくのかは個々人の自由だという考え方だ。決して強制するのではなく、新たな考えやスタイルを示唆するといったところか。「ライチャスバーガー」を食べた人たちのよりよいライフスタイルを応援していくために、あくまで自然かつ自由な形でヴィーガンを取り入れてほしいという想いは彼らの偽らざる本心だろう。
お店で提供されるのは、すべて100%プラントベースのヴィーガンメニュー。食感や見た目は、パンチの効いたジャンクなハンバーガーそのものだが、新鮮な野菜をたっぷりと使い、野菜本来の味と風味をしっかりと感じさせる仕上がりに。パティやソースもハンドメイドの自家製にこだわっている。山口シェフはかつてイタリアンレストランやオーガニックカフェなどで経験を積み、これまでも航空会社のヴィーガンミールや電機メーカーの宅配ヴィーガンキットの開発を手掛けるなど、経験と実績は申し分ないだけに、その味は決して期待を裏切ることはない。また、今回の路面店オープンにあたり、これまでの定番メニューに加え、バッファローソイチキンバーガーやミックスマッシュルームフライが新たにグランドメニューに加わるなど、ヴィーガン専門店とは思えない充実のラインナップを誇る。
店内はウッドを基調としたシンプルなデザインだが、外壁を彩るニックスカラーのロゴデザインをはじめ、ニューヨークのハードコアバンド、ゴリラ・ビスケッツやニルヴァーナのポスター、さらに長年、アニマルライツを推進するモリッシーのポートレートなど、「ライチャスバーガー」の骨太なバックボーンを想起させるインテリアが目を惹く。また、「The Driven Skateboards(ザ・ドリブン・スケートボード)」の“100% SKATEBOARDER”をオマージュした“100% PLANT BASE”のスケートデッキに象徴されるユーモアを加味したアイテムからは、ストイックになり過ぎない「ライチャスバーガー」の自由なマインドも見て取れる。他方で、求人募集の案内では“困っているスタッフを進んで助けられる人”や、“忙しい時でも仲間を思いやれる人”を採用条件に挙げて、生産性や効率より人柄重視であることをキッパリと明言している。近年、世の中に充満する閉塞したムードも相まって、新自由主義的な強者のマインドがどんどんと幅を利かせる中で、「ライチャスバーガー」に通底する“持たざる者”への暖かな眼差しは、山口シェフ自身のハードコアという出自に寄るところが大きいのだろう。応援したいというのはいささかおこがましい物言いではあるが、こういうお店こそいつまでも長く続いてほしいと切に願う。
東京都世田谷区瀬田 2-28-10 イケダハイツ101
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