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テーブルの一皿から環境問題の解決を目指す,
日本発のプラントベースブランド「グリノ」の挑戦。
LIFE STYLE Mar 14, 2022
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第41回は、有名シェフ監修によるオリジナルのヴィーガンメニューをオンラインショップで展開する「Grino(グリノ)」をピックアップ。
“地球とあなたに、おいしい選択肢”をコンセプトに掲げる「グリノ」は、動物性食材を一切使用しないプラントベースのメニュー開発、製造、販売を手掛けるフードイノベーションブランド。現在は、自社のオンラインショップを中心に、調理済みの冷凍プラントベースフードを展開している。代表を務める細井優氏は、前職であるアップル社に勤めていた際、同僚社員が病気を患ったことから“食”の大切さに気付き、健康経営アドバイザーの資格を取得するなど、勉強を重ねて起業。健康を促進するヘルシーなサラダをオフィスにデリバリーする法人向けのサービスを開始する。多くのIT系起業が同サービスを導入するなど、好評を博していたが、偶然あるドキュメンタリー番組を見たことで転機が訪れる。自分たちが普段口にしている牛肉が、いかに環境に負担をかけているのか、そして、それがどれだけ地球温暖化に拍車をかけているのか、という事実に衝撃を受けて、環境への影響が少ないプラントベースフードを提供する新規事業を立ち上げ、軸足を移すことになる。
事業化から1年半程経った現在では、有名シェフと管理栄養士監修によるオリジナルのプラントベースフードは10品以上取り揃え、さらに「グリノ セレクション」と題して、以前こちらの連載でも紹介した「東京ヴィーガン餃子」をはじめ、有機スプレッドやスプラウトベーグルといったおすすめのセレクト品も並ぶ。メニューは、カレーやパスタの単品メニューに加え、総菜やご飯ものなど複数の商品をまとめたお得なパックや、植物性食材だけでなくニンニクやネギといった仏教の戒律で禁じられることもある五葷を一切使用しないメニューも用意する。すべてのメニューは、最新の冷凍技術を駆使して作りたての新鮮さをキープしたもので、保存料や合成着色料未使用となる優しい味付けにこだわっている。また、冷凍パック商品に関してはレンジで温めるだけの調理いらずで、忙しい現代人への心遣いも伺える。
「グリノ」は自社の製品を通して、利便性や美味しさ、健康面を考慮して自分のためにプラントベースの商品を選ぶことで結果的に地球のためになっていたという、自然なサイクルが生まれることを目指している。そのため、売上の一部を植林事業に還元すること、野菜の端材をアップサイクルした商品の開発、サトウキビの搾りかすを転用した商品容器など、将来的な予定を含めれば様々な環境に優しいアイデアを形にしている。
自身も日常的にプラントベース中心の食生活を送る代表の細井氏は、この事業を始めるきっかけとなったドキュメンタリー番組の中で、「地球温暖化の動きを遅らせ、そのうえ逆転させることは、我々の世代のみが可能な挑戦である」という言葉に、深く感銘を受けたのだと語る。また、二児の父親である彼は、子供たちの未来のために自分は何ができるのかを常に自問したという。地球にとって、そしてすべての子供たちにとってより良い未来を築くための選択肢であり、それに共感してくれる人たちの食事のあり方を後押したいと願う「グリノ」の挑戦はまだまだ終わりそうにない。
Grino
grino.life