NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT DEC, 2023
帝国ホテルのドローイングや自由学園の図面など,
約420点を展示するフランク・ロイド・ライト展。
ART Nov 1, 2023
アメリカ近代建築の礎を築いたフランク・ロイド・ライトの個展「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」が、愛知県にある豊田市美術館で開催中。
ピッツバーグにある傑作住宅「落水壮(フォーリング・ウォーター)」や「グッゲン ハイム美術館」の設計などで知られるアメリカ近代建築の巨匠 フランク・ロイド・ライトは、「帝国ホテル二代目本館」や「自由学園明日館」を手掛け、熱烈な浮世絵愛好家としての顔を持つなど、日本とも所縁が深い。とくに今からちょうど100年前の1923年、関東大震災の発生当日に落成した帝国ホテルは、災禍を生き延びたことでライトに大きな名声をもたらした。広大な敷地に客室の他、劇場や舞踏会室など様々な施設を備えた、それ自体が都市であるかのような壮大なプロジェクトには、ライトが過去に出会ったマルチカルチュラリズムからの応用が認められ、またこのときの試みは、以後のライトの建築のなかで豊かな展開へと発展するなど、彼にとって結節点に立つ歴史的な建築物となった。
2012年には、フランク・ロイド・ライト財団から図面をはじめとする5万点を超える資料がニューヨーク近代美術館とコロンビア大学エイヴリー建築美術図書館へと移管。以降、建築はもちろんのこと、芸術、デザイン、著述、造園、教育、技術革新、都市計画に至るライトの広範な視野と知性を明るみにする調査研究が続けられきた。帝国ホテル二代目本館の100周年を記念して開催される本展では、それらの近年における研究結果を踏まえ、フランク・ロイド・ライト財団及びエイヴリー建築美術図書館の全面協力のもと、帝国ホテルを基軸に、多様な文化と交流し、常に先駆的な活動を展開したライトの功績を明らかにする。
約420点にも及ぶ展示は、ライトがキャリアをスタートさせたシカゴと東京を結ぶ浮世絵的世界観や、自身の建築思考に影響を及ぼした幼少期の進捗主義教育など、トピック毎に分けた7章立ての構成。初期の重要な建築「ユニティ・テンプル」の図面や模型、また緻密な装飾ドローイングといった貴重な資料も公開される。また、主題でもある帝国ホテルに関しても、実際に使われていた家具のほか、記録写真やパンフレットなどを交えて、当時の新しい文化としてのホテルの姿を紹介する。他にもライトが提言した一般家庭のための安価でコンパクトな住まい「ユーソニアン住宅」の一部を再現したスペースを会場内に設けるなど、多角的な構成によって鑑賞者はライト建築の理解をより深めることができるだろう。
なお、本展は豊田市美術館での会期終了後、2024年1月11日からはパナソニック汐留美術館(3月10日まで)、3月20日からは青森県立美術館(5月12日まで)での巡回開催が予定されている。
会期:開催中(12月24日まで)
会場:豊田市美術館 展示室8
愛知県豊田市小坂本町8-5-1
時間:10:00~17:30(入場は17時まで)
休館日:月曜日
観覧料 :一般:¥1,400[¥1,200]/高校・大学生: ¥1,000[¥800]/中学生以下無料
[ ]内は前売券及び20名以上の団体料金
*前売券の詳細及び観覧料の減免対象者及び割引等については豊田市美術館のウェブサイトをご確認ください。
www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/frank_lloyd_wright/