NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
20世紀デザイン史の巨匠 ジャン・プルーヴェの
革新的な仕事と功績に触れる大規模な展覧会。
ART Jul 20, 2022
東京都現代美術館では、20世紀の建築や工業デザインに大きな影響を与えた建築家、ジャン・プルーヴェを紹介する展覧会「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」を、10月16日(日)まで開催中。
ジャン・プルーヴェは、アール・ヌーヴォー全盛期のフランスで、画家の父と音楽家の母に育てられ、ナンシー派の金属工芸家としてそのキャリアをスタート。1930年代には、大衆向けの製品にスチールなどの新たな素材を用いた実験的かつ先進的な仕事へと転換し、家具から建築へと創造の領域を拡張していく。また、第二次世界大戦中はレジスタンス運動にも積極的に参加し、フランス ナンシー市長を務めたプルーヴェは、同国の戦後復興計画の一環としてプレハブ住宅を複数考案するなど、人々の暮らしに寄り添った革新的な仕事を次々と生み出していった。
日本では珍しい大規模な開催となる本展では、「“サントラル”テーブル」(1956年)、「ファサード・パネル」(1950年頃)、「ライン照明」(1954年)等のプルーヴェを象徴する作品と共に、生涯の軌跡を辿る展示からはじまり、「“プレジダンス”デスク No.201」(1955年頃)、「移動式脚立(特注)」(1951年)に加え、工業生産化への移行における標石のひとつとなった「引き出し付き折りたたみテーブル」(1943年)などの代表作を展示。また、数ある作品の中でも「家具の構造を設計することは大きな建築物と同じくらい難しく、高い技術を必要とする」と、本人が重要視していた椅子も多数展示。初期の名作「“シテ”チェア」(1932年)から「“コンフェレンス”チェア No. 355」(1954年)まで数々のマスターピースをまとめて展示することで、美しく整ったかたちを保ちつつ、剛性と人間工学に基づく合理性が交わるデザインを生涯に渡って探求し続けたプルーヴェのものづくりの変遷を体感することができる。
加えて、1960年代に国外に販路を求めたプルーヴェが手掛けた数多くの仕事の中から、ギニアのUAT航空やカメルーンの学校のために作られたブリーズ・ソレイユ(日除ルーバー)を展示。本展の後半部分では、フランスの建築史において重要な位置を占めると共に、プルーヴェの類まれな創造性を体現している
「“メトロポール”住宅(プロトタイプ)」(1949年)や「F 8×8 BCC組立式住宅」(1942年頃)および「6×6組立式住宅」(1944年)などを展示し、自らを“構築家”(constructeur)と位置づけたプルーヴェの建築物へのアプローチにも焦点を当てる。最後の展示室では、「折りたたみ天板付き講義室用ベンチ」(1953年頃)が置かれ、来場者は実際に本作品に座りながら貴重なプルーヴェのインタビューを含む映像を鑑賞できるなど、多面的な構成に加え、様々な趣向を凝らした仕掛けを堪能できる。
なお、7月24日(日)13時からは、各界の識者を集めたシンポジウム「ジャン・プルーヴェから学ぶべきこと」も開催される。デザインと生産をトータルに捉え、それまでになかった新たな技術や素材を追い求めたプルーヴェの構築的な想像力に触れられる「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」を、ぜひお見逃しなく。
会期:開催中(10月16日まで)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1階、地下2階
東京都江東区三好4丁目1-1
開館時間:10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(9月19日、10月10日は開館) 、9月20日、10月11日
入場料:一般 ¥2,000/大学生、専門学校生、65 歳以上 ¥1,300/中高生 ¥800/小学生以下無料
*本展チケットで「MOT コレクション」もご覧いただけます。
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Jean_Prouve