NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
石川県にある金沢21世紀美術館では、現代美術の世界をリードするアーティスト、マシュー・バーニーによる特別展示が開催中。
サンフランシスコ出身のマシュー・バーニーは、現在ニューヨークを拠点に活動する現代アーティスト。彫刻と映像の密接な関係を通して、身体感覚とバーチャルな情報感覚の融合を試みた作風が特徴で、代表作に体の内と外で起こっていることをテーマにした映像作品「クレマスター」シリーズなどがある。1993年ヴィネチア・ビエンナーレアペルト部門で「ヨーロッパ2000」賞を、1996年にグッゲンハイム美術館の「ヒューゴ・ボス」賞を受賞したのに加え、ダラス美術館、シカゴ現代美術館、ニューヨーク近代美術館、テート・ギャラリー、ホイットニー美術館、ソロモンR. グッゲンハイム美術館など、世界の名だたる美術館に作品が収蔵されるなど、21世紀を代表するアーティストのひとりとして、その地位を確立している。
本展は、バーニーが1980年代後半より制作を始めた、主にドローイング、映像、彫刻から構成される「拘束のドローイング」シリーズの9番目の作品「拘束のドローイング 9」を中心に、 同作品映像やモチーフ、登場人物などを紹介する関連作品を展示。「拘束のドローイング 9」は、2005年に金沢21世紀美術館で開催されたバーニーの国内初の大規模個展において、シリーズ新制作として世界初公開されたもので、捕鯨や茶道といった日本文化をテーマに、映画、彫刻インスタレーション、写真など多彩なメディアで展開された作品である。日本を中心に1年半もの歳月をかけて撮影された本作品は、日本文化に対する新鮮なヴィジュアル解釈がなされており、アイスランド出身のアーティスト、ビョークが映画音楽と展示インスタレーションの音楽を担当し、映画において共演したことでも大きな話題となった。
身体や形の変容をテーマに制作活動を続けるバーニーだが、「拘束のドローイング」というタイトルが指し示すように、ドローイングを行う際に身体に拘束、制限を与え、そこから生まれる未知の形に挑戦する意味が込められている。抵抗による不可抗力で生まれるエネルギーの源泉や過程を、独自の視点を通して可視化するバーニーの世界観は、作品を通じて、現代に生きる私たちにリアルな身体性とは何かを問いかけるものでもある。それは、初公開から17年経った現在でも何ら変わることなく、作品に込められたメッセージはパンデミック以降の世界を体験した鑑賞者の心に強く響くものでもある。人間の身体と環境、その関係性における作家独自の視点とその作品世界を、ぜひ本展で体感してみてはいかがだろう。
会期:開催中(9月11日まで)
会場:金沢21世紀美術館 展示室2
石川県金沢市広坂1-2-1
時間:10:00~18:00(金、土曜日は20:00まで)
*観覧券販売は閉場の30分前まで
休場日:月曜日(ただし8月15日は開場)、7月19日(火)、8月16日(火)
料金:一般 ¥450(¥360)/大学生 ¥310(¥240)/小中高生無料/65歳以上の方 ¥360
*( )内は団体料金(20名以上)
*美術奨励の日(会期中の毎月第2土曜日)は金沢市民の方は本展を無料でご覧いただけます(要証明書の提示)。
*本展観覧券は同時開催中の「コレクション展1 うつわ」との共通です。
TEL:076-220-2800(代表)
www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=17&d=1803