NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
ロサンゼルスと東京を現代アートで繋ぐ試み。
AMADOURキュレーションによる展覧会が開催!
ART Jul 12, 2023
ロサンゼルスを拠点に活動するインディペンデント キュレーター、AMADOUR(アマドール)が企画するグループ展「SYNTH」が、7月30日(日)までGallery COMMONで開催中。
本展は、ロサンゼルスの多様な都市景観を探求し、精力的に表現してきたアメリカ出身のアーティストたちによる作品を紹介。それぞれの作家は、絵画や彫刻、陶器、写真表現を用いて南カリフォルニア州の豊かな自然の地形や都市部における視覚文化、さらに映画のようなロマン主義を展示することで、かの地独自の景観と特性を東京に紹介するものである。
キュレーションを手掛けるのは、ロサンゼルスとニューヨークを拠点に活動し、絵画、音楽、彫刻、パフォーマンスを手掛けるインディペンデント キュレーターでありながら、自身もアーティスト、ライター、そしてミュージシャンとしての顔を持つアマドール。そんなアマドールが、本展のために集めたのが、アーロン・ファウラー、アレックス・アンダーソン、エイプリル・ストリート、デヴェンドラ・バンハート、エリン・デズモンド、セイヤー・ゴメスの6名。 それぞれ、アウトプットや作風こそ異なれど、同じアメリカ人としてロサンゼルスをインスピレーションソースとする芸術表現という共通項がある。
アーロン・ファウラーは、捨てられた日用品を素材に巨大な作品を制作する現代アーティスト。自身を形成するアフリカンアメリカンというルーツとヒップホップカルチャーが、創作における主要なアイデンティティとなっている。今回の展示では、ヒップホップと原宿ファッションの結び付きに対するオマージュとして長さ2メートルの巨大な靴を製作した。セイヤー・ゴメスとエリン・デズモンドは、ロサンゼルスの風景を描いてきた自分たちの作品を通じて、原宿の街並みを描いた絵画に応答しようと試みている。ゴメスの作品がロサンゼルスの人工的な側面に視線を向けるのに対して、デスモンドの写真では、裸体がカリフォルニアの夕焼けや草木をアーチ状に囲い、鑑賞者を一転して自然へと引き戻す。
エイプリル・ストリートの作品は、前述したデズモンドの写真作品に続くかたちで、ロサンゼルスの牧歌的な色調と呼応しながら鮮やかな植物の生い茂る幻想的なジャングルへと観る者を引き込む。一方、シアトル出身のアレックス・アンダーソンによって作り出された一見可愛らしく思える陶器は、よく見ると暗いモチーフによって私たちを裏切り、大都市が提供する華やかではあるが、どこか浅はかなライフスタイルについて考察を巡らすものである。また、ベネズエラ系アメリカ人ミュージシャン兼アーティストのデヴェンドラ・バンハートの作品は、社会と私たち個人の関係を力強い図面で描いており、 情緒的で精神的な表現によって本展の最後のピースをはめてくれる。
今回の展覧会における主題なったロサンゼルスと原宿という2つの都市は、自由と自己表現の理想郷というステレオタイプの認識を共有しているために、文化の重要なミューズのような場所であるという幻想をどちらも持っている。 多くの人々が、インスピレーションを得るため、あるいは夢を追い求めるために、今なお両都市に集まり続けているのが、その証拠だ。国内外からの影響やインフラの変化によって両都市が変貌するなか、創造的な都市の核となるものが一体何なのかを再考することはこれまで以上に重要となる。本展がアートを通してロサンゼルスと東京を繋げると共に、それぞれの特徴を改めて考えるひとつのきっかけになることだろう。
会期:開催中(7月30日まで)
会場:Gallery COMMON
東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
時間:12:00-19:00(水~日)
休廊日:月曜日、火曜日
www.gallerycommon.com/exhibition/25_synth