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代表作「舌出し天使」から近作まで,80点を紹介!
立木義浩のポートレートに焦点を当てた写真展。
ART Oct 12, 2023
1960年代から企業広告、雑誌、出版など幅広い分野で活躍し、日本の写真界を牽引し続けてきた写真家、立木義浩の個展「肖像/時」が、東京工芸大学にある写大ギャラリーで開催中。
本展は、東京工芸大学の創立100周年を記念したもので、同校の卒業生である立木義浩の60年以上に渡るキャリアの中でも、ポートレートに焦点を当てた作品約80点が展示される。
1937年徳島県出身の立木義浩は、東京写真短期大学(現在の東京工芸大学)で写真技術を学んだ後、日本におけるエディトリアルデザインの礎を築いた広告会社アドセンター設立時にカメラマンとして参加。1965年に雑誌「カメラ毎日」の巻頭56ページにわたって掲載された「舌出し天使」で鮮烈なデビューを飾ると、1969年にフリーランスへと転向。以降、堀内誠一がアートディレクターを務めた「an an」では、それまで日本にはなかったストーリー性を帯びた斬新なファッションフォトを手掛けるなど、黎明期であった国内のファッション雑誌を盛り上げる一翼を担った。また、俳優の加賀まりこを被写体にした写真集「私生活」(1971)は、発売当初から話題となったが、90年代以降に新世代のアートディレクターやフォトグラファーから再評価され、後進のフォロワーにも多大なる影響を与えるなど、文字通り日本の写真界をリードし続けた存在である。
写真家/ジャーナリストの小林紀晴が企画構成を手掛けた本展では、代表作である「舌出し天使」をはじめ、それ以前に20歳で雑誌「アサヒカメラ」に掲載された幻のポートレートや、40代の代表作であるドキュメンタリー「MY AMERICA」、東寺の国宝を含む仏像、東日本大震災の被災地で撮られた老人たちの肖像、さらに若い学生たちをモデルに近年撮影された作品などで構成される。ファッション写真やスナップなど幅広く手掛け、多彩な作風で知られる立木だが、あえてポートレートのみに絞って構成する狙いについて小林紀晴は、「有名、無名、 聖、俗、新、旧が混在する今回の展示は、独自の作家性を確立し、いまなお進化し続ける写真家 立木義浩を改めて展観する試みでもあります」と語っている。
なお、会期終了は11月1日(水)。現在も精力的に活動を続ける偉大なる作家の尽きない創造性の一端に触れてみてはいかがだろう。
会場:東京工芸大学 写大ギャラリー
東京都中野区本町2-4-7 5号館(芸術情報館)2F
会期:開催中(11月1日まで)
時間:10:00~19:00
休館日:木曜日、日曜日、祝日
入場料:無料
www.shadai.t-kougei.ac.jp/overview.html