NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT APR, 2025
黒人文化の美学と民藝の哲学を融合させた,
「アフロ民藝」を提唱するシアスター・ゲイツ展。
ART Mar 12, 2024
アメリカ シカゴを拠点に活動する現代アーティスト、シアスター・ゲイツの個展「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」が、4月24日(水)より六本木の森美術館で開催される。
1973年イリノイ州シカゴ出身のシアスター・ゲイツは、アイオワ州立大学と南アフリカのケープタウン大学で都市デザイン、陶芸、宗教学、視覚芸術を学び、アーティストの道へ。現在もシカゴのサウス・サイド地区を拠点としながら彫刻と陶芸作品を中心に、建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなど、メディアやジャンルを横断する多彩な創作活動で、国際的な評価を集めている。
彼が提唱する「アフロ民藝」とは、アメリカの公民権運動の一翼を担ったスローガン「ブラック・イズ・ビューティフル」と日本の「民藝運動」の哲学を融合させた独自のマニフェストであり、アート表現を通した芸術的かつ知的な試みでもある。ゲイツは、2004年に愛知県常滑市で陶芸を学ぶために初来日し、以来20年以上にわたり日本文化の影響を受けてきた。一方、アフリカンアメリカンとして生きてきた経験が、自身の創作の礎となっており、アーティストとして文化的ハイブリディティ(混合性)を追求した結果、「アフロ民藝」という独自の美学に行き着いた。
日本初開催となる本展では、常滑市で制作された陶芸をはじめ、シカゴのファンク・ミュージックなどにインスパイアされた彫刻作品、教会オルガンを使ったサウンド インスタレーション、さらに江戸後期の歌人であり陶芸家でもある大田垣蓮月の作品や日本の香、酒、茶道をモチーフにした新作まで、黒人文化と日本文化の歴史的な資料やオブジェを組み合わせ、ハイブリッドに融合させた作品群を展観。展覧会期中には、聴覚や嗅覚に訴えかけるパフォーマンスや、常滑市にある旧土管工場(利陶管)でのインスタレーションなど、ゲイツの幅広い活動を紹介する様々なイベントが予定されている。また、会場には展示室の壁を本棚で埋め尽くす「ブラック・ライブラリー」も登場。アート、歴史、文化に関する数千冊もの書籍を鑑賞者は自由に閲覧することができる。
ゲイツのこうした多岐にわたる創作活動の中でも最も有名な建築プロジェクトのひとつに「リビルド・ファウンデーション」(2009年~)がある。彼の地元であり先人たちの中では、かつて恣意的に隔離され、土地の所有や投資などの平等な権利すら与えられなかった黒人が多数を占めていたシカゴのサウス・サイド。「リビルド・ファウンデーション」とは、この地区の廃墟となった40軒以上の建物を誰もが自由にアートや文化活動に参加できる空間へと生まれ変わらせたものである。本展では、彼のバックボーンを語るうえでキーとなる同プロジェクトについての資料も展示される予定だ。
異なる領域を軽やかに横断する多彩な作品群を通して、黒人文化の今日的な重要性や意義を示す「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」を、ぜひお見逃しなく。
会期:4月24日(水)~9月1日(日)
会場:森美術館
場所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
時間:10:00~22:00(火曜日のみ17:00まで、ただし4月30日、8月13日は22:00まで)
*入館は閉館時間の30分まで
*会期中無休
入館料:
[平日]一般 ¥2,000(¥1,800)、学生(高校/大学生) ¥1,400(¥1,300)、子供(中学生以下) 無料、シニア(65歳以上) ¥1,700(¥1,500)
[土、日、休日]一般 ¥2,200(¥2,000)、学生(高校/大学生) ¥1,500(¥1,400)、子供(中学生以下) 無料、シニア(65歳以上) ¥1,900(¥1,700)
*専用オンラインサイトでチケットを購入すると( )の料金が適用されます。
*当日、日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしでご入館いただけます。
*本展は、事前予約制(日時指定券)を導入しています。専用オンラインサイトから「日時指定券」の購入が可能です。日時指定券の販売開始日は決まり次第ウェブサイトでお知らせします。
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mori.art.museum/jp/exhibitions/theastergates/index.html