“MEAT FREE MONDAY” TSUMUGU CAFE

“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第88回は、台湾の菜食文化を広く伝える｢TSUMUGU CAFE ～台湾茶とベジフードのおみせ～｣をピックアップ。

地下鉄要町駅より徒歩5分ほどの立教通り沿いにある｢TSUMUGU CAFE｣は、2019年5月にオープン。台湾と日本のミックスである店主、渋谷さんとそのご家族によって営まれており、本場の台湾茶やオリエンタルベジタリアンといった台湾文化を広めることで、日常の中で新たなカルチャーを知るきっかけであったり、少しの幸せを紡いで欲しいという想いからお店を始めたという。渋谷さんのお母さんも20年来の菜食主義であるように、台湾は総人口の約13%がベジタリアンと言われており、その割合はインドに続き世界第2位という、まさにベジタリアン大国。｢台湾素食｣と呼ばれる日本でいう精進料理のようなオリエンタルベジをはじめ、多様な菜食文化が生活に根付いている。渋谷さんも古くから親しまれてきた台湾の菜食文化と、台湾出身の母親が教えてくれた台湾茶の味わいを日本の人にもっと知ってほしいという想いが強いのだと語る。

お店で提供される料理は、すべて肉、魚介、五葷(ネギ、ニラ、ニンニク、らっきょう、玉ねぎ)を一切使用していない(一部に卵、乳製品を使用しているが、ご要望があれば取り除くことも可能)。本場の台湾料理を軸にしながら、アジアン風から洋風まで取り入れた創作ベジフードが特徴で、ノンベジの方でも十分楽しめるように味には妥協を許さないというのが渋谷さんのポリシーだ。また、名物のひとつでもある台湾茶は、台湾から直輸入した厳選の品揃え。新鮮かつ香り高い茶葉を、フレイバー毎に分けた茶壷(チャフウ)と呼ばれる急須から注いで味わうことができる。

台湾ちまきセット ¥1,100

お店でひとつずつ手作りされる台湾名物のちまき。セットには春巻きやサラダ、漬物、フルーツなどが付いており、彩り豊かな見た目に加えて栄養バランスも抜群。

薬膳ヌードル ¥1,000

黒酢醤油系の芳醇なスープに極細麺を合わせたヌードル。具材には大豆ハムや生姜、クコの実、ナツメなどが入っており、奥行きのある複雑な風味と薬膳の力を堪能できる。

サイドメニュー

写真はソイナゲット、ポテトフライ、ペッパースモークハム、単品中華春巻き、ベジたこ焼きをオードブル形式に盛り合わせた一皿。たこ焼きのマヨネーズはヴィーガンマヨネーズへと変更可能。

薬膳豆花￥550

日本でも人気が高い台湾発の国民的スイーツ。あっさりとしたヒョク豆花と黒糖スープを合わせることで優しい甘さに。トッピングには、タピオカ、ナツメ、クコの実、黒もち米、はと麦、小豆、納豆、蕎麦、黒豆が入っており、様々な食感が楽しめる。

台湾茶

台湾から直輸入した有機栽培の高品質茶葉のみを使用。身体を芯から温め、リラックス効果や活力を促進させるリフレッシュ効果などが期待できる。お店1番のおすすめは阿里山茶(茶菓子付き¥750)。すっきりとした飲み口が特徴で、花のような華やかな香りとほのかに甘い後味が楽しめる。

週末には｢台湾早餐天国｣(www.instagram.com/taiwan_zaocan_tengoku)という名前で、台湾式の素食モーニングを提供(土日の朝7時30分～12時)。多国籍料理が多い｢TSUMUGU CAFE｣とは異なり、すべて台湾料理に特化した本場ならではの朝食が楽しめる。シグネチャーは蛋餅(ダンピン)と呼ばれる小麦粉や片栗粉で作った生地にハムや野菜などの具材を挟んで焼き上げた軽食で、サクサクとした口当たりともちもち食感が癖になる美味しさ。通常、卵を入れることも多いが、こちらでは卵抜きのヴィーガン仕様で提供している。店主の渋谷さんによれば、食事系だけでなくピーナッツダンピンやタロイモダンピンといった甘い系もおすすめとのこと。他にもヴィーガン仕様の魯肉飯や大根餅、餛飩湯(ワンタンスープ)などに加え、日替わりの台湾茶などが堪能できる。

｢TSUMUGU｣という店名には、“ひとつひとつの出来事を紡いで幸せをつくる”という意味があり、誰かにとってこのお店が“ひとつむぎ”できる場所であってほしいという想いが込められている。単に食事やお茶を楽しむだけでなく、心と身体を休める場所であり、まだ知らぬ異国の食文化を学べるハブ的な機能を持ち合わせたお店でもあるのだ。