“MEAT FREE MONDAY” VEGAN RAMEN UZU TOKYO

Text_SWAG H.

"MEAT FREE MONDAY”
VEGAN RAMEN
UZU TOKYO

光と影が織りなす壮大なアート空間で味わう,
食材にこだわり抜いたヴィーガンラーメン。

LIFE STYLE Feb 21, 2022

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“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第38回は、チームラボが作り出すデジタルアート空間の中で、本格的なラーメンを楽しめる｢Vegan Ramen UZU Tokyo(ヴィーガンラーメンウズトウキョウ)｣をピックアップ。

チームラボ｢虚像反転無分別｣ ©チームラボ

京都の御所南に店を構える人気ラーメン店｢Vegan Ramen UZU｣の、府外進出1号店となるのが今回紹介する｢Vegan Ramen UZU Tokyo｣だ。京都店の店舗設計をチームラボが手掛けた縁などもあり、豊洲にあるアートミュージアム｢チームラボプラネッツ TOKYO (teamLab Planets TOKYO) DMM｣への初出店となった。そもそも京都店がオープンしたのは、新型コロナウイルスによるパンデミックが猛威を振るい始めた2020年3月。当然、ヴィーガンラーメンをメインにしたお店というのはそれ以前より構想されていたものだが、この予想外の事態によって改めて“地球と人との関係”、そして“食”について考え直すきっかけになったという。地球環境への負荷を減らすという未来に繋がる大きなテーマからミクロへと視点を落とした時に、日本人が古来よりヴィーガンに近い食生活を続けていたことに着目。それならば、日本を起源とした新たなヴィーガン料理を世界に伝えようと、食材の吟味や調理法の試行錯誤はもとより、照葉樹林文化の研究などを重ねてようやく生まれたのがヴィーガンラーメンである。その成果はすぐに現れ、今では入店1時間待ちの行列ができるなど、ラーメン激戦区ともいえる京都でも屈指の人気店に。わずか1年半の間に、2号店の｢Vegan Ramen UZU Tokyo｣をオープンするまでとなった。

チームラボ｢空と火のためのロングテーブル｣ ©チームラボ

チームラボの作品｢空から噴き落ちる、地上に憑依する炎｣と、実際の空が机上に映り込むテーブル。食事という行為を含めて、バラバラの要素が連鎖的に繋がる仕掛けには、“人間は世界と繋がりなくては生きていけない”というコンセプトが反映されている。

｢Vegan Ramen UZU Tokyo｣では、テイクアウト可能なラーメンを、昨秋より公開された作品空間｢虚像反転無分別｣や｢空と火のためのロングテーブル｣、屋外に備えられた｢ひとつなぎのベンチ｣などに身を置いて味わうことができる。食事をする場所にアート作品が飾られているのではなく、空間そのものが壮大なアートであり、テーブルと椅子や天井、壁面、そして外の世界までもがシームレスに繋がって有機的に作用する、めくるめく食体験を堪能できる。もちろん、肝心のラーメンが美味しくなければ、圧倒的な空間演出もただのこけおどしになってしまう。そういった意味でも自らハードルを上げた上で勝負できるのも、クオリティへの自信が成せる技である。例えば、すべてのラーメンに共通するスープは、羅臼昆布と国産椎茸に玉ねぎ、セロリ、生姜、ニンニクなどを加え12時間じっくり水出ししたあと、低温で煮出した手間暇をかけたもの。自家製のオリジナル麺は、北海道産の小麦粉と宮崎県綾町産の無農薬全粒粉をベースに細かく調合するなど、こだわりを挙げれば枚挙にいとまがない。一般的にノンベジの人が誤解しやすいような、ヴィーガン料理の物足りなさや味気なさとは無縁で、多くの人にとって肉食も含めた無数にある選択肢の中から選ばれるというのも頷ける。

ヴィーガンラーメン醤油 ¥1,320

自慢のスープに、島根の｢井上醤油店｣の古式醤油と香味油を合わせた一杯。自家製の中太麺は、北海道産小麦をベースに有機農業が盛んな宮崎県綾町の無農薬全粒粉を加えたもので、豊かな風味とツルツルの食感が楽しめる。

ヴィーガンラーメン味噌(辛) ¥1,320

ブレンドした味噌と豆板醤、白ごまペーストを合わせた特製味噌ダレをベースに、香味油をブレンド。自家製の太い平麺にヴィーガンとは思えないほど濃厚でコク深いスープがしっかりと絡む。

ヴィーガンラーメン茶 ¥1,650

佐賀と長崎の県境にある九州の里山で丁寧に作られた銘品｢EN TEA｣の日茶を使用。羅臼昆布と国産椎茸が有するしっかりとした旨味に、お茶特有の風味を加えることで芳醇なコクを引き出した一杯。

ヴィーガンラーメン花(冷) ¥1,980[数量限定]

｢チームラボプラネッツ｣の新作を想起させる一品は、広島県三原市にある｢梶谷農園｣のエディブルフラワーを贅沢に使用。旨味、甘み、酸味をバランスよく配合した冷たいスープとツルツルとした食感の中太麺で、清涼感が味わえる。

ヴィーガンラーメン炎(激辛) ¥1,650

ブレンドした味噌に豆板醤と本味醂、数種類のスパイスを調合したカラシビ油を加えた刺激的な香りが食欲を誘う一杯。見た目のインパクトと作品の世界観を絡めて｢空と火のためのロングテーブル｣で味わいたい。

ラーメン以外にも、ヴィーガン仕様のアイスクリームをはじめ、地ビールや｢EN TEA｣を使ったすだち緑茶スパークリング、カモミールほうじ茶など、豊富なドリンクメニューを用意。｢チームラボプラネッツ TOKYO DMM｣の来館者以外も利用することができるので、気軽に足を運んでみてはいかがだろうか。

ヴィーガンアイスクリーム by PicaRo Eis ¥660

京都五条のアイスクリーム専門店｢PicaRo Eis｣のヴィーガンアイスクリーム。写真のキャラメルココナッツの他に、｢EN TEA｣を使ったピスタチオグリーンティーや爽やかなミントキュウリなど、フレイバーも豊富。

｢Vegan Ramen UZU｣のホームページに掲げられたステイトメントには、“私たちはヴィーガンが絶対的に正しいとは主張しません”とした上で、“ただ、地球に過大な負荷をかける現代の食産業、食生活が限界にきていることは明らかです”と投げ掛ける。単純に美味しいラーメンが食べたい、チームラボのアートを体験したい……入り口は人それぞれであっても、一杯のラーメンをきっかけに環境問題や食の未来について、みんなで考えてもらえたらというのが、彼らが望むことなのだ。