“MEAT FREE MONDAY” CHIPOON

“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第67回は、ラフォーレ原宿2階のフードエリア｢GOOD MEAL MARKET(グッドミールマーケット｣内にあるファストフード店｢Chipoon(チプーン)｣をピックアップ。

2018年にオープンした｢チプーン｣は、銀座にある中華の名店｢Renge equriosity(レンゲエキュリオシティ｣のオーナーシェフ、西岡英俊氏がプロデュースを手掛けるヴィーガンのチャイニーズファストフード。“毎日食べても身体に負担のない美味しいヌードル”をコンセプトに、野菜本来の味を引き出したメニューを提供する。元々、お店のオーナーを務める齋藤悠氏が、｢レンゲエキュリオシティ｣を訪れた際、コースメニューの一品として提供された野菜と塩だけで旨味を抽出したベジタブルラーメンに感動し、西岡シェフにメニュー協力を仰いだことがお店を立ち上げるきっかけになったという。とはいえ、最初から美味しいヴィーガンラーメンを目指した訳ではなく、美味しいラーメンを追求した結果、ヴィーガンでもあったという逆説的なアプローチがとられている。また、先述したコンセプトに即して、使用する油脂分をできるだけ抑えた軽やかな仕上がりにしつつ、味の輪郭となる塩分は絞ったレモンの果汁などで代用することで極力塩分量を控えることに成功した。

｢チプーン｣では、肉の代用品としてフェイクミートに頼るのではなく、農家から取り寄せたこだわりの野菜をどうすれば美味しく食べられるかという発想が創作の源である。野菜と調味料だけで完成するオリジナルのヌードルは、アイデアやテクニックにおいて古くから中国にある“素食”と呼ばれるベジタリアン料理に通ずるものがあり、“素食”そのものがヴィーガンとも親和性が高いことを考えれば、その方向性は実に理にかなっている。加えて、化学調味料を使わずに旨味を引き出すことに注力して作り上げたスープは、毎日食べても身体に負担がかからないというのも納得だ。

ベジタブルタンタンヌードル ¥902

野菜の出汁を効かせた醤ベースのスープに、自家製ラー油を加えた刺激的な一杯。ふんだんに使った唐辛子と花山椒の存在が、スパイシーな辛さの中に爽やかさを感じさせる。

ヴィーガンヌードル ¥825

たっぷりの野菜や昆布などでとったスープをベースに、繊細な細麺と水菜や湯葉などの具材を合わせたシンプルなラーメン。身体に優しく、毎日食べても飽きがこない｢チプーン｣のシグネチャーメニュー。

ヴィーガンJ系ラーメン ¥1,300

インパクトのある見た目からも分かるように、茹で野菜山盛りの某ガッツリ系ラーメンをコンセプトにした一杯。化学調味料を使わず、野菜だけで抽出したコクと深みのあるスープは極太の麺ともよく絡む。力強い風味と濃厚なコク、さらに旨味が押し寄せるような味わいは、いい意味でヴィーガンであることを一切感じさせない仕上がりに。

お店で提供しているヴィーガンヌードルは、そのほとんどがオンラインストアでも購入可能。スープ、麺、具材をワンセットにした冷凍キットで、家庭でも簡単にプロの味を再現することができる。単品に加え、3種と6種の詰め合わせセットも展開しているので、食べ比べてみるのもおすすめだ。

ヴィーガンヌードル全部入り ¥5,800[6種セット]

旨塩、タンタン、油そば、黒胡麻、味噌、春雨を詰め合わせたオンラインストア限定の6種セット。＊冷凍商材のため、実店舗で提供している具材と内容は異なります。

味のクオリティこそ専門店顔負けだが、レストランではなくあえてファストフードを謳っているのは理由があると齋藤氏は語る。美味しい料理を誰でも気軽に食べてほしいというのはもちろんだが、あらゆることにこだわりを追求するとその皺寄せが従業員に偏り、ブラックな職場環境に陥ってしまう。それを危惧してオペレーションやサービスをシステマチックにできるファストフードにしたのだという。こういった現代的な感覚と視点は、とかくストイックになり過ぎたり、ノンベジの人からは“意識が高い”などと揶揄されがちな日本人のヴィーガンに対する誤った認識を変えてくれるかもしれない。一杯のヌードルが既存のライフスタイルに変革を起こし、食を通じた社会貢献を実現する大きな可能性を秘めているのだ。