NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT MAY, 2025
お互いの“こころの障壁”を取り除く,
優しさと力強さを兼備するヴィーガン料理。
LIFE STYLE Oct 18, 2021
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.ではこのメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第23回は中目黒にあるヴィーガンカフェ「Alaska zwei(アラスカツヴァイ)」をピックアップ。
中目黒と池尻大橋のちょうど中ほどにある「アラスカツヴァイ」は、2016年9月にオープン。その名前に聞き覚えのある人も多いだろうが、元々は音楽プロジェクト、ナチュラル・カラミティやDJとして活動する森俊二さんがプロデュースを手掛けた人気ベジタリアンレストラン「Alaska(アラスカ)」がその前身。同店のお客さんであった大皿彩子さんは、普段から頻繁に訪れていた大好きな「アラスカ」が閉店してしまうことを知り、オーナーとして新たに店を引き継ぐことを決意する。そして、ドイツ語で数字の“2”を表す“ ツヴァイ”を店名に加えて、現在の「アラスカツヴァイ」をオープンすることになった。前職は広告業界に身を置いていた大皿さんは、仕事で訪れたベルリンで国籍や人種、宗教など異なるバックグラウンドを持つ者同士が、同じテーブルを囲んで食事をする姿を目にしてヴィーガンフードに可能性を見出したという。お肉やお魚などの動物性ではなく、植物性の食事であれば文化的背景や食の嗜好を気にすることがないので、お互いの“こころの障壁”が低くなると大皿さんは語る。加えて、長期的に考えた場合、地球環境に影響を及ぼしやすい動物性の食べ物が誰しも簡単に口にできるものではなくなっても、ヴィーガンフードのレシピがあれば、100年や200年にも渡って世界中の人に作り続けてもらえる。そんな、未来に向けての視座を持った大皿さんが、「アラスカツヴァイ」をヴィーガン専門店にしたのはまさに必然といえよう。
お店で使用される食材は、できる限り自然栽培と有機栽培の野菜を使うように心掛けている。安全性はもとより、生産者との縁を大切にし、彼らがどんな想いを持って野菜を育てているのかをよく知った上で自分たちも大切に扱えるものだけを使う。また、玄米も無農薬、無化学肥料で育てられた栃木県産のものを使用。玄米特有のプチプチとした独特の食感と滋味深い味わいで、お客さんからの評判もすこぶる高い。「アラスカツヴァイ」には多国籍メニューも多いため、調味料にもこだわっている。一般的な動物性の料理とは異なり、ヴィーガン料理は調味料や油の質がダイレクトに伝わるからだ。お店では、店頭販売もしている自家製の味噌をはじめ、ヴィーガン仕様のベジオイスターソースやチリソースなどを使い、野菜や食材本来の力を引き出したクリアな味を実感できる。人気のランチは、365日毎日違うメニューを提供する。玄米や植物性のパンとメイン、サラダ、スープなどを組み合わせたプレートが人気で、しっかりと食べ応えがありバランスも良いのが特徴だ。また、本連載の第14回で紹介した「UNIVERSAL BAKES AND CAFE」が姉妹店とあって、メニューの一部や店頭販売を行っているパンの美味しさにも目を見張る。1つ1つお店で手作りされる100%植物性のパンは、早い時間に売り切れることもある人気商品となっている。
フードメニュー以外にも、季節のフルーツを使ったタルトやパウンドケーキなど、スイーツメニューも豊富に揃う。もちろん、卵や乳製品は一切使わないヴィーガン仕様で、日替わりのプチスイーツであればランチ+380円で本格的な味を楽しめる。
フードメニューにしろ、スイーツにしろ「アラスカツヴァイ」の料理は、ヴィーガンがとかく誤解されがちな「身体に良いことをするために、我慢して味気ない食事」を強いるのとはまるで違う充足感を味わえる。同じテーブルを囲む者同士の“こころの障壁”を取り除くために試行錯誤を重ねて生まれたメニューには、目の前にいる食べる人を喜ばせたいというシンプルな想いがその根底にあるからに違いない。
東京都目黒区東山2-5-7
TEL 03-6425-7399
www.instagram.com/alaska_zwei