NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
有機栽培を超える自然農法の野菜にこだわった,
1976年創業の日本で初めての自然食レストラン。
LIFE STYLE Mar 6, 2023
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第83回は、日本における自然食の草分け的存在ともいえるナチュラルフードレストラン「MOMINOKI HOUSE(モミノキハウス)」をピックアップ。
菜食主義に興味がない人でも1度は耳にしたことがあるであろう「モミノキハウス」。同店が現在も店舗を構える原宿に日本で初めての自然食レストランとしてオープンしたのが1976年。以降、46年間にわたって自然栽培で作られた玄米をはじめ、雑穀、野菜、発酵、無添加の調味料で作られた身体に優しい食生活を提供し続けている。一口に46年といっても、流行の移り変わりが激しい原宿という街でレストランを続けていくのは並大抵のことではない。一時の物珍しさやヘルシーブームの恩恵に授かっただけでないことは、古くからベジタリアンとして知られるポール・マッカートニーをはじめ、 スティヴィー・ワンダーやデヴィッド・ボウイらが来日中に通ったという逸話からも、その歴史の深さと確かな実力が伺える。シェフを務めるのは山田英知郎氏。東京、芝パークホテルでフランス料理を学んだ後、渡米してペンシルヴァニア州で料理の修行に邁進。その後、イギリスに渡り、ロンドンの「ローリーズ レストラン」で研鑽を積むと、帰国後はマクロビオティックの創始者、桜沢如一氏が創設した日本CI協会リマクッキング師範課程で資格を取得した。現在も「モミノキハウス」で腕を振う一方、日本スローライフ協会理事やナチュラルフードプラネット理事長を務め、後進の育成に力を注ぐなど、ベジタリアンやヴィーガンの世界では名の知れた人物である。
「モミノキハウス」では、すべての料理にオーガニックフードと電子イオン水を使用している。中でも野菜類はすべて「自然農法」にこだわったもの。「自然農法」とは、農薬や化学肥料はもちろん、有機質肥料さえも一切使用せずに作物を育てた無肥料(無施肥)栽培法を指すもの。肥料の力に頼らないので、自然をつぶさに観察し、たっぷりと愛情をかけなければ上手く作物は育たない。「モミノキハウス」では、大自然(太陽や水、土)の偉大な力を取り入れ、畑の使命を全うさせようとするところから始まる「自然農法」こそが、あらゆる農法の中で究極の栽培法だと考える。その理由のひとつに挙げられるのは有機栽培との比較にある。一般的に環境に優しいとされる有機栽培だが、使用される有機質肥料のほとんどが、遺伝子組み換えによる穀物を餌として与え、抗生物質やホルモン剤などを投与された家畜の糞が使われていること。加えて、そうした生まれた肥料が大量に使われた結果、地下水の汚染が進んでいるとも懸念されており、現在、有機栽培の大きな課題となっているという。それらの問題点を解決したのが先述した無肥料栽培であり、環境や健康をめぐる様々な課題の克服に期待できる「自然農法」食材こそが「モミノキハウス」にとって譲れないこだわりだ。調理法も食材本来の持ち味を活かすよう、無添加の調味料を使ったシンプルな味付けに。そこには、訪れてくれた人たちに“本物の自然”という最高の贅沢を味わってほしいというお店からの想いが込められている。
フードメニュー以外にも羅漢果茶やオーガニックコーヒーといったドリンク類、さらにオーガニックビール、オーガニックワインなどのアルコール類も充実。動物性食材不使用のヴィーガンスイーツは、白砂糖不使用かつグルテンフリーなので、誰でも安心して楽しめる。
「モミノキハウス」は、“衣食住”と呼ばれるものの中で、“食”に対して意識を向けている人があまりにも少ないのでは? と疑問を呈す。センスのいいおしゃれな服を着たい、素敵な家に住みたいと考える人は多いのに、最も肝心な“食”について、もっと自身の感性やセンスを磨いてほしいのだと語る。センスのいい食べ物が好きになれば、健康で幸せになるためにあえて「好きなもの」を我慢したり、「身体にいいもの」を無理して食べる必要がなくなるというのが、彼らの持論だ。自然食をセンスとして捉える考え方は、ヴィーガンはおろか、ベジタリアンですら一般的でなかった70年代から今日までナチュラルフードレストランを続けてきた「モミノキハウス」ならではの説得力を感じさせる。その上で、心も身体も幸せになるために皆さんの“食”のセンスを磨くためのお手伝いをしますというのが、お店としての提案でありスタンスなのだ。予約が取れないお店を沢山知っていることもグルマンやフーディーにとっては、センスを図るひとつの指針なのかも知れない。ただ、もっと根源的な部分での“食”のセンスの良し悪しを知りたいのなら、「モミノキハウス」に足を運んでみてはいかがろう。
東京都渋谷区神宮前2-18-5
TEL 03-3405-9144
www.mominoki-house.net