アカデミー賞国際長編映画賞のノルウェー代表となったドキュメンタリー映画｢SONG OF EARTH／ソング・オブ・アース｣が、9月20日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿他にて全国公開される。

本作は、美しい大自然に囲まれたノルウェー西部の山岳地帯に暮らすある老夫婦の姿を、その娘であり、｢もしも建物が話せたら｣(2014年)などで知られるドキュメンタリー作家、マルグレート・オリンが1年をかけて密着したドキュメンタリー作品である。地球上でも有数の壮大なフィヨルドを誇るこの渓谷に根を下ろし、シンプルだが豊かに生きる両親の姿から、監督は人生の意味や生と死について学んでいく。

作品の舞台となったのは、ノルウェーの人里離れた山間部、オルデダーレン。厳しくもあり、息を呑むような美しい自然に囲まれたこの場所で、年老いたひと組の夫婦が暮らしている。この地を離れ、作家となった娘が2人の姿をカメラに収めようと帰郷したことから、映画制作がスタート。84歳となった父親は、この国で最も美しい渓谷と呼ばれる場所に娘を案内しながら、自分の生い立ち、最愛の妻への想い、そしてこの土地で自然と共に生きてきた何世代にも渡る人々の人生について静かに語り始める……。

手付かずの地球の姿を今に留める渓谷では、崩れ落ちる氷河や切り立った断崖が生み出す奇跡のパノラマ、夜空に降りてくる七色のオーロラ、さらに多様な動物達の生き生きとした姿など、季節ごとに姿を変える大地や、驚くべき自然の風景が発見できる。本作では、そんな大自然のありのままの姿を、ドローンや最新の撮影機材を用いてダイナミックに捉え、誰も観たことのない荘厳で圧倒的な映像美と重厚なサウンドによって、観客を壮大な旅へと誘っていく。 そして、本作において最も重要なウエイトを占めるのが、老夫婦の存在だ。長い間、自然と共に暮らす彼らの人生哲学を通して、この地球上に生きることの意味と地球環境など未来へ向けて考えていかなければならない問題を見つめ直すきっかけを与えてくれる。

けしてセンセーショナルでもなければ、派手さもないドキュメンタリーだが、映画界の巨匠、ヴィム・ヴェンダースと、｢鏡の中にある如く｣(1961）、｢冬の光｣(1963)など、数々の名作を手掛けたイングマール・ベルイマン監督のミューズとして知られるノルウェー出身の大女優、リヴ・ウルマンが、本プロジェクトに共感し、製作総指揮を担当 。その結果、ドキュメンタリーでありながらアカデミー賞のノルウェー代表に選出された他、2023年北欧ドキュメンタリー映画祭では最優秀撮影賞を受賞するなど、国内外の多くの映画祭で称賛を浴びることとなった。