NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT JUL, 2026
“台湾ニューシネマ”の巨匠,エドワード・ヤンの
原点にして伝説「海辺の一日 4Kレストア」。
ENTERTAINMENT Jul 10, 2026
「ヤンヤン 夏の思い出」(2000)や、「牯嶺街少年殺人事件」(1991)などで知られる映画監督、エドワード・ヤンにとって初の劇場用長編映画となる「海辺の一日 4Kレストア」が、7月10日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下他にて全国公開される。
1947年上海生まれのエドワード・ヤンは、幼少期に台北に移住。フロリダ大学進学を機にアメリカへと渡り、コンピューター関係の仕事に従事するなど、約13年間をアメリカ各地で過ごす。その後、映画の夢を捨てきれずに1981年に台湾へと戻り、翌1982年にはクー・イーチェン、ホウ・シャオシェン、タオ・ドゥーツェンと共にオムニバス映画「光陰的故事」を発表し、監督デビューを果たす。固定カメラによる画角や長回しを多用したスタイルをはじめ、一般人や無名俳優の起用、さらに市井の人々の暮らしを題材とした、それまでの台湾映画にはなかった文学的な作風は、“台湾ニューシネマ”という大きな潮流を生み出す。ヤンの遺作となった「ヤンヤン 夏の思い出」は、カンヌ国際映画祭で監督賞を獲得するなど、台湾ニューシネマを代表する監督として今なお後世に影響を与え続けている。
1983年に発表された本作は、ヤンの長編デビュー作であると同時に、1990年代にウォン・カーウァイとの名タッグで数々の名作を生み出した撮影監督、クリストファー・ドイルの長編デビュー作となる。この奇跡的ともいえるデビュー作において、ヤンはのちに発表される「恐怖分子」(1986)、「牯嶺街少年殺人事件」、「ヤンヤン 夏の思い出」へと連なる都市の変貌や、世代間の断絶、家族の軋轢、そして個人の記憶が現在をどう規定するのかといった継続的な主題を鮮やかなかたちで提示するなど、すでにその才能の片鱗を見せている。
物語の舞台は台湾・台北にある小さな町。医師の娘である佳莉(ジャーリィ/シルヴィア・チャン)は、親への服従を重んじる伝統的な価値観のもとで育った。家長父制的な規範のなかで父の権威に逆らえず、愛を失っていく兄、佳森(ジャーセン/ミンシ・アン・ツォー)の姿は、彼女に深い衝撃を与える。やがて佳莉は、父が望む結婚を拒み、同級生の徳偉(ドゥウェイ/デヴィッド・マオ)との結婚を選んで家を出る。一方、佳森の元恋人である蔚青(ウェイチン/フー・インモン)は、留学先のオーストリアから帰国した才能あるピアニストとして活躍していた。佳莉の自由な決断に憧れを抱いていた彼女だったが、佳莉の結婚生活は、次第に理想とかけ離れたものになっていく。ある日、佳莉は警察に呼び出され、海辺へ向かうことになる。そこで彼女は、夫との歳月、自分が選んできた人生、そして見ないふりをしてきた感情と向き合い始める。過去を辿るなかで、彼女の中に封じ込められていた時間が、少しずつ姿を現していく……。
単なる回想劇に終始しない、記憶と時間が紐付いた緻密かつ多層的な構造も秀逸だが、恋愛と結婚の物語として始まりながら、やがて父権的な秩序のなかで「自分の人生を生きる」とは何かを問い返すメッセージは、公開から40年以上経った今なお強度を増して胸に迫るものがある。
なお、8月21日(金)からは、1986年公開のエドワード・ヤン監督作品「恐怖分子 デジタルリマスター」の全国公開も決定しているので、そちらもぜひ、お楽しみに。
7月10日(金)、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、角川シネマ有楽町、シネマート新宿他全国公開
監督:エドワード・ヤン
脚本:エドワード・ヤン、ウー・ニェンツェン
撮影:クリストファー・ドイル、チャン・ホイゴン
編集:リャオ・チンソン
録音:ドゥ・ドゥーチー
出演:シルヴィア・チャン、フー・インモン、マオ・シュエウェイ他
提供:JAIHO
配給宣伝:グッチーズ・フリースクール
1983年|台湾|カラー|167 分
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