台湾のアカデミー賞とも称される金馬奨で8部門にノミネートされるなど、アジア各国の映画賞を席巻した作品｢無聲 The Silent Forest｣が、1月14日(金)よりシネマート新宿他で公開。

本作は、2011年に台湾のろう学校で実際に起きた性暴力事件を題材にしたもので、監督はNetflixで配信中のドラマシリーズ｢暗闇は目を閉じて｣で監督を務め、これが長編映画初挑戦となるコー・チェンニエン。監督自ら事件について綿密な調査を行い、その事実をひとりでも多くの観客に伝え、問題提起をするためにメガホンをとった。

聴覚障害を持つチャンは、普通学校から台湾南部のろう学校に転校し、学校の創立100周年の記念パーティで出会った同級生の少女、ベイベイに心惹かれる。ある日、チャンはベイベイがスクールバスの中で複数の男子生徒から性暴力を受けている現場に遭遇してしまう。信じられないことに、その後もベイベイは、生徒たちと何事もなかったかのように遊んでいるのだ。その実態に困惑するチャンは、信頼するワン先生に真実を打ち明け、彼女を救って欲しいと懇願する。しかし、友達を裏切りたくないと事件について頑なに話したがらないベイベイ。それは現状への諦めではなく、周りの大人たちが変わらなければ、どうすることもできないことを理解していたからだった。ベイベイのひとりでは抱えきれないほどの深い悲しみを知ったチャンとワン先生は彼女を守ることを決意し、校長に被害を訴えるが、まともに取り合ってももらえなかった。過去にも同様の事件があったに違いないと悟ったワン先生は、生徒への聞き取り調査を開始。その結果、2004年から始まった性暴力やセクシャルハラスメント被害は127件にもおよぶことが判明した。時を同じくしてマスコミもその実態を取り上げるものの、学校は事件の真相を隠避する。事件解決のため、奔走するチャンとワン先生、そして、またも被害を受けてしまうベイベイ。それぞれに待ち受ける未来とは……。

本作が公開されると、台北の週間興行収入1位を獲得するなど大きな反響を呼び、前述の金馬奨をはじめ、2021年の台北映画祭でも最多7部門8ノミネートを記録。ベイベイを演じたチェン・イェンフェイも金馬奨と台北映画祭で最優秀新人俳優賞をW受賞し、今後さらなる活躍が期待される。