NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
菜食主義ではない料理人がゼロから作り上げた,
“ジャンクな旨味”たっぷりのヴィーガンドッグ。
LIFE STYLE Oct 11, 2021
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.ではこのメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第22回は、ヴィーガン仕様のホットドックと和風シェイクが味わえる「Bells中目黒 HOTDOG & SHAKE」をピックアップ。
1950年代のアメリカンダイナーのテイストを基調に、オリエンタルな要素や蛍光ピンクを織り交ぜたカオティックな店舗デザインが目を惹く「Bells中目黒 HOTDOG & SHAKE」は、2020年1月にオープン。「“美味しい”と“安全”を当たり前に届ける」をコンセプトに、お店のブランディングも手掛ける代表の柿内勇樹氏が考える“カッコイイ”をエッセンスとして加味し、まずは東京を足掛かりに世界の人を笑顔にすることを目指している。学生時代の多感な時期を、カリフォルニアとニューヨークで過ごした柿内氏は、多様なバッググラウンドを持つ人と交流を重ねる中で、宗教上の理由から牛や豚肉を食べられない人をはじめ、ベジタリアンやヴィーガン向けの飲食店が日本では少ないことに注目。現在のお店に繋がるヴィーガンホットドッグ店の構想を思い描くきっかけとなった。その後、有名外食チェーン店でアルバイトからキャリアをスタートして研鑽を積み、いくつかの会社で立ち上げから運営に関わり、執行役員を務めるなど着実に実績を重ねた。そんな折、池尻大橋にあるホテルの一角で飲食店をやらないかというオファーが届き、現在のビジネスパートナーでもある料理人の鈴江悟史氏に声を掛け、これまで構想していたヴィーガンホットドッグ店をオープンさせた。残念ながらそのお店は1ヶ月のポップアップショップという形で終わったが、その時に開発したメニューのクオリティに自信を感じていた2人は、自分たちでお店を立ち上げることを計画。晴れて昨年、現在の「Bells中目黒 HOTDOG & SHAKE」を中目黒の高架沿いという好立地にオープンすることになったのである。
非動物性ソーセージを使ったホットドッグが売りの「Bells中目黒 HOTDOG & SHAKE」だが、意外にもヴィーガン専門店ではない。柿内氏によれば、お肉が大好きな人や菜食主義者を含めたすべての人にとって“食べる”という行為は、あたりまえかつ平等に楽しむべきであるという想いがその根底にはある。異なるバックボーンや多様な食の嗜好を持つ人もお店をセパレートして食事する必要がないということが重要であり、ヴィーガンオンリーにしない理由であると柿内氏は語る。そのため、ホットドッグに使う自家製ソーセージは、代替肉仕様の非動物性ソーセージと、宗教上の制約が少ない鶏肉を主原料としたソーセージの2種類から選択できる。ソーセージの力強い味を受け止めるパンも「ハード」と「ソフト」からチョイス可能で、動物性食材を使わないこだわりの特注品だ。
ホットドッグ以外のサイドメニューの充実ぶりも見逃せない。タコライスや焼き餃子といった定番のフードメニューに加え、当店でしか食べれないジャンクミートドーナツなどのオリジナリティ溢れるメニューが揃う。また、ヴィーガン対応と非ヴィーガン仕様が選べるコールスローや、ヴィーガン対応のミネストローネを用意。ランチタイム限定の「コンボセット」は、お好みのホットドッグに250円プラスすると、サイドメニュー1品とソフトドリンク飲み放題が付いてくる。
店名にも“ホットドッグ&シェイク”と謳っているように、もうひとつの看板メニューがヴィーガン仕様の和風シェイクだ。氷を一切仕様せず、アイスクリームに非動物性のミルクを加えた濃厚な味わいが特徴で、黒ごま、抹茶、きな粉、ほうじ茶、黒蜜の全5種類の和風フレーバーが揃った。
店内での飲食だけでなく、テイクアウト専用のソーセージも人気が高い。大手食品会社を除けば、こちらのお店を含めて国内で2社しか製造していないというヴィーガンソーセージは、「ソーセージ職人がつくった ほぼソーセージ」という名前の通り、動物性食材不使用ながら食べ応えのある味で、その人気は口コミを中心に広がっている。
メニュー開発を手掛ける鈴江氏をはじめ、日常的にお肉を食べている料理人が生み出すヴィーガンフードは、従来のものとは異なるジャンクな旨味が最大の特徴で、菜食主義以外のファンも多い。しかし、オープン前はヴィーガン対応かつホットドックに特化したニッチな業態ゆえ、周囲からの反対も大きかったという。それが今では、他社からの商品開発の依頼が届くなど、予想外の反響が増えるまで、着実に受け入れられている。「Bells中目黒 HOTDOG & SHAKE」が掲げるヴィーガンだけでなく人種や性別、国籍も関係なく誰もが同じように楽しめる店という間口の広さと、その先にあるヴィーガンフードの可能性という奥深さは、今後さらなる共感と支持を集めることだろう。
東京都目黒区上目黒2-44-16 ホークパレス中目黒1F
TEL 03-5708-5746
www.instagram.com/bells_nakameguro