フランス発の世界的なメゾン、シャネルの創設者であり、20世紀を代表するファッションデザイナーでもあるココ・シャネルのドキュメンタリー映画｢ココ・シャネル 時代と闘った女｣が、7月23日(金,祝)よりBunkamuraル・シネマ他で公開される。

ココ・シャネルの没後50年、そして世界で最も売れた香水｢No.5｣の誕生から100年目にあたる2021年に公開される本作は、世紀のデザイナーの波乱に満ちた生涯と実像に迫るものである。1883年にフランスの南西部にあるオーヴェルニュの救済院で生を受け、幼少期を孤児院で過ごしたココ・シャネルは、自身の名を冠したメゾンを立ち上げると第一次大戦後には現在の価値にして250億円もの資産を築くなど女性として史上初の世界的な実業家に上り詰めるまでとなった。その才能は当時から突出しており、元々は、船乗りのためのユニフォームだったマリンルックのファッションとしての提案や、ジャージー生地の採用に象徴される実用性を備えた婦人服、ミニマルなリトルブラックドレスやツイードのスーツなど、今なおメゾンのシグネチャーとして語り継がれる革新的なデザインを次々と考案。それまでのコルセットで固定したドレスに象徴される旧態然としたジェンダー規範に囚われない、自らの力で自由に羽ばたこうとする女性たちのスタイルを先導し応援し続けた。また、社会的地位や裕福度を表す帽子の羽飾りを抜き、ショートヘアや日焼けした肌の美しさを広めるなど、ファッションにおける美と富の相関関係を断ち切ると共に、19世紀的な価値観を葬り去るインパクトは“皆殺しの天使”とも称されるほどであった。しかし、その後、第二次大戦後に突如スイスへと亡命すると、沈黙期間は10年にも及んだ。その間、若い女性たちのトレンドは、ディオールなどへと取って代わり、フランスでは既に忘れ去られた存在となったが70歳にして劇的な復活を遂げることとなった。

作中では、ココ・シャネル本人をはじめ、ジャン・コクトーやフランソワーズ・サガン、シャネルの評伝を書いた作家やジャーナリスト、そしてシャネルの下で働いた職人などの証言に加え、若いころのシャネルを知る女優ガブリエル・ドルジアやジャクリーン・ケネディ、そしてサルバドール・ダリ、アラン・ドロン、さらに親密な交際を行っていたウィンザー公や晩年親しくしたダンサーのジャック・シャゾなど、様々な関係者の証言やニュース映像を交えて、シャネルの人生とその人となりを探求する。