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目指すのは,ゴミを出さない“ゼロウェイスト”。
美味しいナッツミルクが叶える理想的な未来とは?
LIFE STYLE Feb 7, 2022
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第36回は、マカダミアナッツミルクとヴィーガンフードのお店「THE NUTS EXCHANGE(ザ ナッツ エクスチェンジ)」をピックアップ。
代々木公園駅にほど近い、代々木八幡商店街沿いに店舗を構える「ザ ナッツ エクスチェンジ」がオープンしたのは、2021年の7月。ミュージシャンの大沢伸一、新羅慎二、「TORIBA COFFEE(トリバ コーヒー)」の鳥羽伸博の3名が中心となって始めたプロジェクトで、当初は大沢氏と鳥羽氏が手掛ける「GINZA MUSIC BAR(ギンザ ミュージック バー)」が、コロナ禍での東京都の緊急事態宣言を受けて営業自粛を余儀なくされる中で、お店を存続させるために始めたものがきっかけとなっている。しかし、「美味しいナッツミルクを作ることを追求する中で、現実社会への問題提起、そして新たな未来への物差しとして、ナッツミルクは大きな可能性があることに気付いた」(オフィシャルサイトのステイトメントより)という結果、本人たち曰く“スピンオフ”のような形で実店舗のオープンに至ったのだという。ちなみに、WEBマガジン「HOUYHNHNM」に掲載された鳥羽氏のblogによると、自身も菜食主義者である氏にとってヴィーガンというのは、もはや自分のアイデンティティのひとつであり、ナッツミルクの持つ可能性に賭けたこの新たな試みを、ビジネスやコンテンツという言葉に当てはめることに抵抗があるため、あえてプロジェクトと謳っているそうだ。
お店では、マカデミアナッツミルクを使ったドリンクメニューと、常時3~4種類程度揃った日替わりのデリやスイーツなどのヴィーガン料理を中心に提供する。ミルクは店内にある石臼でお水とマカデミアナッツを挽き、丁寧に絞って低温殺菌したもので、牛乳を飲めない人にも好評だ。デリで使用する野菜の多くは毎週末、青山ファーマーズマーケットで生産者から直接仕入れる旬を意識した美味しいものにこだわっている。また、焼き菓子やドーナッツ、グラノーラなどのスイーツ類は、植物性由来に加え、ほとんどがグルテンフリーなのもポイント。そして、「ザ ナッツ エクスチェンジ」を語る上でもうひとつ欠かせないのが、“ゼロウェイスト”というキーワードだ。ゴミをゼロにすることを目標に、できるだけ廃棄物を減らそうとするアクションのことで、「ザ ナッツ エクスチェンジ」を運営する上で多方にこの精神が息衝いている。例えば、イートインとテイクアウト共に、可能な限りプラスチック製品の使用を止めており、顧客からの容器持ち込みを歓迎している。
また、デリに使用する野菜も可能な限りフードウェイストを出さないよう可食部の多いものを選んだり、テイクアウト用には顧客から持ち寄られたリユースの手提げ袋を再利用している。クラフト感溢れる暖かみのある店舗デザインは、解体された建物から回収した建材や家具などを販売する長野県諏訪市にある「リビルディングセンター」が手掛けており、レスキューされた古材を使った内装や什器だけでなく、イートインには同センターで回収された食器を使っている。店内に用意されたブランケットは、製造過程で余ったリサイクルウール製のもの使うなど、口に入るものからしつらえに至るまで、微に入り細に入り環境への配慮が見てとれる。お店の外に目を向けると、屋外での飲食用に設けられたウッドテーブルは、共同オーナーを務めるミュージシャンの新羅慎二がDIYで作ったものだという。うがった見方をすれば、“サステナブル”や“エシカル”といったキーワードは耳障りもよく、極めて今日的であるために、ネームバリューのある有名人が何かビジネスを始める上では格好のマーケティング戦略なのかも知れない。しかし、それが文化の上澄みをすくっただけのものや体よく取り繕ったものであれば、ユーザーはすぐに見限ることだろう。売り物ではなく、お店を訪れる人への心配りを形にした手作りのテーブルからは、名前貸しのプロデュースでは決して見ることのできない、このプロジェクトに対する熱意と真摯な姿勢が伺える。
もう1人のオーナー、大沢伸一氏は自身のSNSにおいて「食品を通して文化や新しい知恵を皆さんと共有、そして共存出来る取り組みにしていきたい」と語っており、各地で行われるエコフレンドリーなイベントへの出店や、「ナッツ会議」と呼ばれるユーザーを交えた意見交換の場を設けるなど、様々な催しがその役割の一端を担っている。使われなくなった古材を大切にしてくれる新たな持ち主へと受け継ぐように、新しい知恵やアイデアを独占せずに共有、シェアしていくという行為は、地球環境のみならず理想的な未来を考える上で重要な示唆を与えてくれるに違いない。
東京都渋谷区富ヶ谷1-51-1 1F
営業時間:9:30-18:00(火〜金)/10:00-18:00(土、日)
定休日:月曜日
*営業時間は季節により変動します。
instagram.com/the_nuts_exchange