CRESTONE AND VICTORIA

CRESTONE AND
VICTORIA

砂漠で大麻を育てながら独自のコミュニティを
築く若者を追ったドキュメント｢クレストーン｣。

Text_SWAG H.

最初に紹介するのは、アメリカの映画専門誌｢Filmmaker｣が選ぶ“USインディ映画界の新星25名”にも選出されたマーニー・エレン・ハーツラーが監督を務めた｢クレストーン｣。アニマル・コレクティブが初めて映画音楽を制作したことでも話題を集めた作品である。クレストーンとは、アメリカ中西部コロラド州にある地名であり、かつてナホバ族が暮らしていたことから現在はスピリチュアリズムを信奉する者たちにとっての聖地となっている。持続可能なユートピアを目指してこの地に移住してきたラッパーの若者たちは、物質社会を忌避し、リバタリアニズム(自由至上主義)を掲げて大麻を栽培しながら、SoundCloudに音源をアップする独自のスタイルで小さなコミュニティを築いていた。しかし、どこか現実を見ようとしない彼らは、コミューンに山火事が近づいたことをきっかけにその理想だったはずのユートピアが次第に綻びを見せ始めていく……。

次に紹介する｢ヴィクトリア｣の舞台は、ロサンゼルスから約2時間車で内陸に移動したところにあるカリフォルニアシティ。かつて1960年代にある富豪がロサンゼルスに次ぐ街として開発を試みて、砂漠に大量の道路とゴルフコースを作ったものの結局計画は頓挫し、今やゴーストタウンと化した地でもある。しかし、ロサンゼルス、コンプトンでの波乱に満ちた暮らしを捨て去り、もう1度人生をやり直すためにこの地に移り住んだ青年、ラシェイ T.ウォーレンにとってこの荒野は希望の光を灯すユートピアであった……。本作の監督を務めたのは、新進気鋭のベルギー出身の女性監督3人組で、2020年のベルリン国際映画祭フォーラム部門で最高賞を獲得して一躍話題を集めることとなった。

ユートピアを求めてクレストーンに渡った者たちと、ディストピアの地でかすかな希望を見出した青年。行き詰まるアメリカの若者たちの視線のその先には一体何が映っていたのだろうか。

INFORMATION

クレストーン

7月17日(土)より渋谷シアターイメージフォーラム他全国順次公開

監督：マーニー・エレン・ハーツラー
音楽：アニマルコレクティブ
日本語字幕：スティーブン有田
SXSW2020 トゥルーフォールス2020 公式出品
2020年｜アメリカ｜英語｜カラー｜ドキュメンタリー｜73分｜
©︎This is Just a Test / Memory Production

ヴィクトリア

7月17日(土)より渋谷シアターイメージフォーラム他全国順次公開

監督：ソフィー・ベノート、リザベス・デ・ケウラール、イザベル・トレネール
撮影：イザベル・トレネール
日本語字幕：スティーブン有田
2020年｜ベルギー｜英語｜カラー｜ドキュメンタリー｜71分｜
第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門カリガリ賞
©︎CAVIAR

www.sunny-film.com/utopia-dystopia