NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT FEB, 2025
渋谷の風景をフォトリアリズムの手法で描写し,
街の喧騒と静寂を表現した平久弥の個展が開催。
ART Aug 6, 2024
東京を拠点に活動するアーティスト、平久弥の個展「渋谷」が、8月11日(日)まで渋谷PARCO内にあるギャラリー、NANZUKA 2Gで開催中。
平久弥は、1960年鳥取県倉吉市出身のアーティスト。これまで、「City Diptychs」(Yoshiaki Inoue Gallery、大阪、2020)や「Exploring the Urbanscape and beyond」(Anthony Brunelli Fine Arts、ニューヨーク、2018)といった個展をはじめ、ニューヨーク、ベオグラード、大阪などで国内外で行われた数多くのグループ展に出展するなど、精力的な創作活動を続けている。
その作風は、地下鉄のプラットホーム、エスカレーター、街の路地裏など、日常にありふれた風景を、写実的なフォトリアリズムの手法で忠実に模写するもの。中でも代表作のひとつ、エスカレーターのシリーズは、都市の喧騒や動きの中で見逃されがちな、刹那的な美しさや機能性を鮮やかに捉えており、一見写真のようにも見えるそのリアルなテクニックは、世界中から高い評価を獲得。平は、作品の題材をキャリア当初から日本のみならず、海外でも自らの取材で得ているが、本展では作家の制作の原点とも言える東京、渋谷の街の路地にフォーカスした作品を厳選して紹介する。
平自身は、渋谷という題材について「入り組んだ谷の地形が特徴的な渋谷の風景を描くことは、林の間を谷沿いから眺めているよう」と語っているように、都心の中でも洗練されていない雑然とした風景を意図的に選んでいる。大都会に潜む光と影、明と暗が織り成すダイナミズムを精緻な筆致で描き出し、街の喧騒と静寂のコントラストを美しく表現しているのだ。
何気なく通り過ぎる毎日が、平の作品を通して価値を帯びていくように、私たちも少し視点を変えれば、新たな気付きを得るはずだ。当たり前の日常を送る人たちにも、何か発見に導く示唆を与えてくれる本展をお見逃しなく。
会期:開催中(8月11日まで)
会場:NANZUKA 2G
場所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 2階
休館日:原則無休
*営業時間は渋谷パルコに準じます。
nanzuka.com/ja