NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
ロエベとの協業でも話題を呼んだアーティスト,
fumiko imanoのオール新作による展覧会。
ART Sep 16, 2022
アーティスト、fumiko imanoの個展「going nowhere」が、10月8日(土)までKOSAKU KANECHIKAにて開催中。
fumiko imanoは、セントラル・セント・マーチンズ美術デザイン大学でファインアートを専攻した後、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションでファッション スタイリングと写真を学ぶ。これまで、国内外での展示や雑誌などで作品を発表し続ける他、「We Oui!」(2017年、Little Big Man Books)をはじめとする多数の作品集を発行。また、2018年に「LOEWE(ロエベ)」が発行するアートブック「Publication」に参加したのを皮切りに、現在まで8シーズン連続で同ブランドとのコラボレーションを行っている。2022年には「VANS(ヴァンズ)」とのコラボレーションシューズのデザインを担当するなど、ファッションブランドとの協業でも高く評価されている。
KOSAKU KANECHIKAでは、2019年、2020年に続き3度目の開催となる本展では、fumiko imanoのシグネチャーともいえる双子をモチーフとしたフォトモンタージュの新作、40点を紹介。35mmカメラで撮影したセルフポートレートを手作業で切り貼りして仕上げる同シリーズは、趣のある家族写真風のイメージが無邪気でノスタルジックな情感や、思わずクスッと笑ってしまうようなユーモアを醸し出す。一方で、継ぎ接ぎしたラインをあえて表出させることで、それが虚構であることをわかりやすく伝えると共に、作家によるアイデンティティについての冷静な洞察を示し、新たな物語のための視覚言語としての機能も併せ持つ。
そのストーリーテリングにおいて、重要な構成要素となるのがフォトモンタージュの背景である。これまでの作品では、海外の様々な場所で撮影されたものが多く、それが双子の表情にも豊かなニュアンスを添えていた。加えて、ひとつの場所にとどまらず、常に何かを探して旅を続ける中で、そのプロセスを記録するimanoの作品は、そこに映し出された双子がまるで映し出された世界へと誘うようでもあり、観る者もまた旅に出たような感覚を覚えるものでもあった。
今回、新作の舞台となったのは、imanoが90年代の終わり、ロンドンの学生時代に訪れて以来、いつかまた行きたいと思っていたアイスランド。その理由について彼女は、「コロナの流行中の2021年に少し行きづまって、どこか“middle of nowhere”的な場所に自分の身を置きたくなり、突然行くことになったfumiko imanoの旅行手記のようなものである」と述懐している。22年前に出会ったものや、初めて見に行く氷河など、どこか不思議な双子たちが訪れるアイスランドの様々な情景を通して追体験してみてはいかがだろう。
なお、創作の源泉となったアイスランドの旅についてimanoは以下のように綴っている。
いろいろなことが
going nowhere(どうにもならない)と感じた時
middle of nowhere(何にもない場所的な)に突然行きたくなって
90年代の終わりに行ったあの変な何もない国にまた行きたいと思った
普通の植物も育たない荒々しい自然と
近代のテクノロジーが混ざる地の果て アイスランド
学生の時の旅の
1番安いホットドッグとブルーラグーンの思い出と共に
約22年ぶりに行ったその国は
ツーリズムが発達してて
混沌としてた
だけど
相変わらず何もない不思議な場所で
やはり魔女も妖精もいるかもしれないと思わされ
自分もそうなのかもしれないと悟った
going nowhere
going now here
going now where
どうにもならないときもある
どんな状況でも
今ここにいて
今どこかにいる
冷たい雨と強風に打たれながら歩き続けて
修行だと思った瞬間もあった
たぶん
どこに行っても結局自分はコンピューターのラップトップのように
(携帯とかね)
移動してるだけで何も変わらないのかもしれない
クラッシュしたり古くなって使えなくなったりすることもあるだろうけど
生き物だから買い換えることはできないし
孤独は変わらない
会期:開催中(10月8日まで)
会場:KOSAKU KANECHIKA
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 5F
時間:11:00~18:00
休廊日:日曜日、月曜日、祝日
入場料:無料
TEL:03-6712-3346
kosakukanechika.com