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ABOUT JAN, 2025
KOSAKU KANECHIKAでは、6月5日(土)~7月10日(土)まで、青木豊の個展「窓と行進」を開催する。
青木豊は、絵画の視野を広げ、世界と絵画の関係とその可能性を追求する作品制作を行っているアーティスト。素材の物質や制作方法、さらに鑑賞者の視線の動きの相互反応にフォーカスした作品など、絵画表現における実験と新たなプロセスを繰り返すことで、常に絵画そのものの再発見を試みている。
「窓と行進」と題された本展のキーワードは、“窓”。内と外を隔てる境界であり、“心の窓”や“社会の窓”といった言葉があるように、それは物質と精神をつなぐものであり、環境と人を取り持つ存在を象徴するものである。絵画の持つこの“窓”としての要素にアプローチする青木は、本展の開催にあたり以下のようなステートメントを寄せた(一部抜粋)
―窓はあらゆるものを運び、環境に対して僕たちを仲介する。かたち取られた現象はそのまま意識の境界となってまぶたの裏側に届く。この展覧会では情報と盲⽬について考える。
盲目と対をなす“光”や、光への眼差しは、常に青木の制作の中心にあるもので、時間軸や鑑賞者の存在、展示空間などの環境の要素と光が補完し合うことで作品が有機的に立ち上がるような豊かさを帯び、立体化することをこれまで追求してきた。しかし、光が閉ざされた盲目の世界では、光が常に与えられていることは自明ではないということ、そして、何が本当なのか求めようとする動物としての人間の姿が想起される。それらは、現在私たちが現実世界において初めて経験している不確実性を、またその不確実性が今に始まった事ではないということを示唆しているようでもある。
本展で発表される作品は、アクリルとスプレーを使い分けながらプリミティブかつ大胆な筆致とテクスチャーの質量を考え抜いた筆の流れで、ペインティングの領域を意欲的に拡張するものである。そこに描かれているのは、暗がりからこぼれ落ちる一筋の光のようでもあり、光明を求める心の内を具象化したもの、はたまた窓から切り取った借景のようにも見える。解釈は鑑賞者によってそれぞれあるだろうが、窓としての絵画を通して、何が見えるのか、何を見つけることができるのかを探ってみてはいかがだろうか。
会期:6月5日(土)~7月10日(土)
開廊時間:11:00~18:00
休廊日:日、月、祝
入場料:無料
会場:KOSAKU KANECHIKA
東京都品川区東品川 1-33-10 TERRADA Art Complex 5F
TEL 03-6712-3346
kosakukanechika.com