NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT DEC, 2024
初公開の新作やプロジェクション作品を展観する,
池田亮司の近年における活動を紹介した展覧会。
ART Jul 29, 2022
青森県にある弘前れんが倉庫美術館では、世界的なアーティストとして知られる池田亮司の個展が8月28日(日)まで開催中。
池田亮司は、パリと日本を拠点に活動する国際的なアーティスト/作曲家。電子音楽の作曲を起点としながら体験としてのアートを提示する作家として、音やイメージ、物質、物理現象、数学的概念などの様々な要素の精緻な構成を用いて、見る者/聞く者の存在を包みこむライブパフォーマンスやインスタレーションを発表。世界各地での個展開催や国際展に参加する他、2020年には第70回芸術選奨文部科学大臣賞(メディア芸術部門)を受賞するなど、アートシーンにおいて確固たる地位を築いている。
キャリアを通じてテクノロジーを駆使し、光や音を用いて鑑賞者の感覚を揺さぶる没入型の作品を数多く発表してきた池田だが、2000年以降はデータを主題とする表現を模索し続けてきた。とりわけDNA情報や素粒子、宇宙といった科学領域に関するデータに関心を持ち、果敢に自身の作品に取り入れており、そこではデータを通した世界の新たな認識の方法が提示されている。
2009年以来となる国内美術館での大規模開催となる本展では、純粋な玉の形をした逃れられない重力、ブラックホールのような「point of no return」(2018)にはじまり、続く細い通路の天井にDNA配列を解き明かした「data.flux [nº1]」(2020)、そして後半の展示室で床に沿って流れる「data.tecture [nº1]」 へと観る者を導き、これまでにない未知なる鑑賞体験を創出する。
特に国内初展示となるプロジェクション作品「data-verse 3」(2020)では、NASAをはじめ多くの科学機関によって一般に公開されたデータを収集し、加工、変換など様々な操作を経て視覚的な表現として構成された高解像度の映像作品を展示室内へと投影。原子核の内部から宇宙まで、ミクロとマクロの視点を行き来する壮大な旅へと鑑賞者を誘う。他にもレーザーによる作品 「exp #1-4」 (2020-2022年)など、様々な手法を用いた新作や近作が紹介される。
本展の会場となる弘前れんが倉庫美術館は、約100年前に酒造工場として建造された歴史ある建物を現代日本を代表する建築家、田根剛が設計を手掛け、新たに美術館へと生まれ変わらせた場所。約1200㎡程の広大なスペースでは、各展示室の映像と音響が重層的に重なり合い、建築空間と作品が相互的に共鳴/共振する。建築の特性を最大限に活かした構成を含めて、実際に現地を訪れることでしか味わえない“サイト・スペシフィック”な作品体験をぜひお楽しみに。
会期:開催中(8月28日まで)
会場:弘前れんが倉庫美術館
青森県弘前市吉野町2-1
時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:火曜日
*ただし8月2日は開館
料金:一般 ¥1,300(¥1,200)/大学生、専門学校生 ¥1,000(¥900)
*( )内は 20名以上の団体料金
*以下の方は無料
高校生以下の方、弘前市内の留学生の方、満65歳以上の弘前市民の方、ひろさき多子家族応援パスポートをご持参の方、障がいのある方と付添の方1名
TEL:0172-32-8950
www.hirosaki-moca.jp/exhibitions/ryoji-ikeda/