MIDORI KAWANO EXHIBITION “BRAINWATCH”

MIDORI KAWANO
EXHIBITION
"BRAINWATCH”

ジャケットデザインやMVのディレクションなど,
幅広く活躍する河野未彩の個展が開催。

ART Aug 5, 2022

Photography_Kabo
Text_SWAG H.

視覚ディレクターを肩書きに持つ河野未彩は、音楽や美術に漂う宇宙観に強く惹かれ、2000年代半ばから多くの作品を発表。やけのはらやDE DE MOUSE、PUNPEEらのジャケットデザインをはじめ、EVISBEATや七尾旅人のMVやPUMAへのアートワーク提供など、グラフィックデザイン/映像/プロダクトを媒体とし、ジャンルやシーンを横断した様々なメディアの作品を製作。グラフィック作品の多くは、多種多様なテクスチャーとコンピューターグラフィックスを融合させたデジタル作品、フォトディレクションやデジタルペイントをメインとし、プロダクトや空間演出、映像などはグラフィックの世界観を主軸に現象に注目した作品を展開している。

共にCALM & PUNK GALLERYで開催された｢not colored yet｣(2018)、｢←左右→｣(2021)以来、3回目の個展となる本展では、平面作品に加えてグラフィックを落とし込んだ半立体作品などが展観される。独特のモチーフ選びと繊細なカラーパレットに象徴される混在したエレメントをまとめ上げる卓越した構図のセンスや編集感覚は、分かりやすいシグネチャーを用いずに一目で河野と分かるオリジナリティを感じさせるものばかりである。なお、本展に寄せた河野のコメントは以下の通り。

1枚の画像、1体のオブジェクト。
ある視覚情報を起点に、動的イメージが脳内で再生されるとき、そのイメージは唯一あなたの脳内で上映され、完全再現されることはないだろう。
そして、その異次元へのチケットを手にした瞬間、あなたは現実空間と並行して２軸の次元を体験している。

私は永遠に見ることのできない、それに憧れる。
自他の境界やヒントが、そこにあるような気がして、あなたの脳内では何が映し出され、あなたの半分はいまどこにいるのだろうかと。

そしてなぜだろう、私はどうにかそれを可視化しようと試みている。

流行病も情報による洗脳も体験した現地球人は、それ以前よりも幾分か目の前の情報に、懐疑的になっただろうか。
それは同時に、自己認知が深まったということでもあるかもしれない。

他は自を映す鏡だというが、解像度を上げるほど、最終的にそれは自が創り出した幻想であると知る。
答えに近づけば具体性は消えていき、角度をかえれば形は変わっていく。
世界をみている自我の中心は、どうしても無色で空虚で捉えどころがない。

そしてなぜだろう、私はどうにかそれをつかもうと試みている。