NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
世界的なモニュメントを布で覆い尽くしたアート,
“包まれた凱旋門”プロジェクトに迫る展覧会。
ART Aug 12, 2022
赤坂にある21_21 DESIGN SIGHTでは、現代美術作家、クリストとジャンヌ=クロードによる企画展「クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門”」が開催中。
本展は、2021年に実施されたクリストとジャンヌ=クロードによるアートプロジェクト「LʼArc de Triomphe, Wrapped, Paris, 1961–2021(包まれた凱旋門)」の制作背景と実現に向けた長い道のりに焦点を当て、2人の人生において貫かれたものを紐解いていくものである。“包まれた凱旋門”とは、パリの世界的なモニュメントであるエトワール凱旋門が16日間にわたり、銀色のコーティングが施された青い布25,000m²とそれを拘束する3,000mもの赤いロープで包まれた壮大なプロジェクトで、クリストとジャンヌ=クロードが1961年に構想して以来、彼らにとって悲願の夢でもあった。
公私を通じてパートナーでもあったクリストとジャンヌ=クロードは、1958年にアーティスト活動を始めて以来、「ドラム缶の壁=鉄のカーテン」(1961~1962)や「包まれたポン・ヌフ」(1975~1985)など、これまで世界中で驚きに満ち溢れたプロジェクトを実現させてきた。2009年に妻のジャンヌ=クロードが逝去した後も、2人が夢見たプロジェクトの実現に向けてクリストは1人で創作活動を続けてきた。長年の夢でもあった“包まれた凱旋門”プロジェクトは、当初2020年に実現予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期。結局、クリストは完成を見ることなく、同年5月に他界する。その後、多くの賛同者の協力のもと、構想から60年という歳月をかけて2021年9月に実現することとなった。
クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード財団の協力を得て開催される本展では、2人のパリでの出会いに始まり、“包まれた凱旋門”プロジェクトが実現するまでの約60年という道程を、構想、準備、設置、実現の段階に沿って展観する。地下ロビーでは、ニューヨークのスタジオで同作品のドローイングを描くクリストの様子を動画で、ギャラリー1では、凱旋門の模型を中心に、プロジェクトの準備を行う様子を映像で紹介。
また、ギャラリー2では、“包まれた凱旋門”を様々な視覚手法で再構成する空間インスタレーションが展示される。パリで最も賑やかな交差点の中心にあるナショナルモニュメントを守りながらエンジニア、行政、施工業者、製造メーカーなどが工夫を凝らして設置していく様子から、プロジェクトが実現して人々が驚きや歓喜に包まれるまでを、本展のディレクターで映像作家でもあるパスカル・ルランの映像表現により、まるで1本の映画を鑑賞するかのようにダイナミックな空間を通して追体験することができる。さらに、本プロジェクトの実現に尽力した14名のインタビュー映像を通して、クリストとジャンヌ=クロードの人間性や、クリエイティビティ、実現の喜びを感じられるなど、様々な趣向を凝らした多面的な構成となっている。
なお、会期終了は2023年2月12日(日)。夢の実現に向けたクリストとジャンヌ=クロードの姿勢や仲間たちの存在を通して、創作活動のみならず日常において様々なチャレンジを試みる勇気を貰ってみてはいかがだろう。
会期:開催中(2023年2月12日まで)
会場: 21_21 DESIGN SIGHT
東京都港区赤坂 9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
時間: 10:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日、年末年始(12月27日~1月3日)
入場料:一般 ¥1,200、大学生¥800、高校生¥500、中学生以下無料
*ギャラリー3は入場無料
TEL:03-3475-2121
www.2121designsight.jp