NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT FEB, 2025
ケニー・シャーフの新作個展が開催! 38年前に
改造を施したキャデラック「夢の車」も限定公開。
ART Jun 14, 2023
アメリカ人アーティスト、ケニー・シャーフの新作個展「I’m Baaack」が、NANZUKA UNDERGROUNDと草月会館の2会場で開催中。
ケニー・シャーフは、アメリカ カリフォルニア出身のアーティスト。ニューヨークの名門、School of Visual Artsを卒業後、アンディ・ウォーホルをメンターとして仰ぎ、グラフィティやコラージュを主要な表現スタイルとする「イーストヴィレッジ アートムーブメント」の一員として、バスキアやキース・ヘリングといった同世代のアーティストとともに一躍脚光を浴びる。その後、自身のユニークな創作を説明するために「ポップ シュルレアリスト」という用語を生み出し、世界各国での個展を成功させるなど、その評価を確立させた。現在では、独自のキャラクターを駆使したアート作品という21世紀型ポップアートのトレンドに繋がる文脈を切り開いた先駆者として、後進となる若いアーティストからの支持も厚い。また、2021年には「ディオール」とコラボレーションを行うなど、アートシーンを超えた精力的な活動を続けている。
今回は、ケニー・シャーフにとって、日本のプライマリーギャラリー(注:アーティストの新作が最初に発表され、売買される第一次的なマーケットを担うギャラリー)における展覧会として、約30年振りとなる新作個展。
会場のひとつ、NANZUKA UNDERGROUNDでは、シャーフが1985年に発表したインスタレーション「Cosmic Cavern」の新作が発表される。本作は使い古した玩具や家電といったファウンドオブジェクトとブラックライトを用いたもので、空間を丸ごとビビットなネオン色に変換し、没入型の視聴体験を提供するシャーフを象徴するシリーズであり、その進化した作品を観ることができる。
一方の草月会館にでは、イサムノグチ石庭における新作の立体彫刻作品のインスタレーションに加えて、1985年に草月会館が主催した「アートインアクション」展の際に、シャーフ自身がペイントと改造を施したキャデラック「夢の車」が38年ぶりに限定公開される。
他にも、シャーフ作品の特徴でもあるカラフルな色彩と独自のキャラクターが登場する新作には、日本語で「温暖化」、「見えぬ道筋」、「原告」、「医療システム整備」といった言葉が散りばめられている。これらの作品群は、今回の個展にむけて、日本語の新聞を集め、私たちが現在向き合っているテーマに関するキーワードを画面の中に忍ばせたもの。若い頃に、ドラッグやエイズなどで多くの友人を失った経験を持つシャーフにとって、あらゆる社会の問題が自身の創作活動の背景にあることが見て取れる。
独特なキャラクターと鮮やかな色彩を通じて、自身の感情の起伏や生命感を表現したケニー・シャーフの新作個展を、お見逃しなく。
NANZUKA UNDERGROUND
会期:開催中(7月9日まで)
場所:東京都渋谷区神宮前3-30-10
時間:11:00~19:00
休館日:月曜日、火曜日
nanzuka.com/ja
草月会館 草月プラザ
会期:開催中(6月30日まで)
場所:東京都港区赤坂7-2-21
時間:火曜日~木曜日 11:00~16:00、金曜日~土曜日 11:00~17:00
休館日:日曜日、月曜日
www.sogetsu.or.jp