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自らの出自や文化的背景をキャラクターに投影。
アメリカ人作家 ヘブル・ブラントリーの新作展!
ART Nov 17, 2023
ロサンゼルスを拠点に活動するアメリカ人アーティスト、ヘブル・ブラントリーの新作個展「Traveling Without Moving」が、11月18日(土)よりNANZUKA UNDERGROUNDにて開催される。
アメリカ シカゴ出身のヘブル・ブラントリーは、クラーク・アトランタ大学で映画の学士号を取得。その後、デザインやイラストレーションのバックグラウンドを経て、現在はロサンゼルスにて壁画やペインティング、立体作品、インスタレーションまで精力的な創作活動を行なっている。
その作風は、1960年代から70年代にかけてシカゴのサウスサイドで起こったアフリコブラ運動(ジェフ・ドナルドソンによって設立された同名のアーティスト集団を中心とするアートムーブメントで、アフリカンアメリカンの新しい芸術の発展とブラックアイデンティティへの誇りを表現した)に多大な影響を受けており、エアロゾルアートやウォールアートを自身のルーツと切り離せないものと捉えている。また、アメリカのステレオタイプなヒーロー像や主人公の在り方に対する懐疑心や挑戦を内包した作品は、鑑賞者に多様な視点を与えるものであり、多彩な色彩とポップアート的なモチーフからは、郷愁や優しさ、強い精神、力や希望といったポジティブなコンテクストも見て取れる。
NANZUKA UNDERGROUNDにおいて初めての開催となる本展では、ブラントリーのシグネチャーとも言えるフライボーイ(FLYBOY)を中心に構成。フライボーイとは、大きなパイロットゴーグルを着けたオリジナルキャラクターで、今回は宇宙への旅を語る一直線上の物語によって紡がれた時代がテーマとなっており、高さ2mを超えるロケットのインスタレーションと約13点の新作平面作品を紹介する。フライボーイは、第二次世界大戦で戦ったアフリカ系アメリカ人と、米軍史上初のアフリカンアメリカの航空部隊「タスキーギ・エアメン」がその由来で、キャラクターが登場する世界は、作家のアイデンティティ、出自、考え方などを反映した“ダーク・フィクション”という大宇宙がその舞台となる。ブラントリー自身は、この独自の概念をテーマに据えた本展について、「文化的なアイデンティティ、スピリチュアリティ、そして成長(またはその欠如)に関連するムーブメントについての議論を通した、私の個人的な創造の旅」であるとも語っている。
なお本展は、銀座のMEGUMI OGITA GALLERYでの個展「Still」展とのジョイント企画となっており、2つの展覧会がそれぞれのギャラリーにて同時開催される。ぜひ、両会場に足を運び、作家の狙いやテーマへの理解を深めてみてはいかがだろう。
会期:11月18日(土)~12月24日(日)
時間:11:00~19:00
休廊日:月曜、火曜日
会場:NANZUKA UNDERGROUND
東京都渋谷区神宮前3-30-10
nanzuka.com/ja