NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT DEC, 2024
没後に発掘された日本初公開の作品を紹介する,
ソール・ライターの写真展「Saul Leiter」。
ENTERTAINMENT Nov 27, 2024
1950年代~80年代にかけて活躍したファッションフォトグラファー、ソール・ライターの写真展「Saul Leiter」が、SELECT by BAYCREW’S内にあるギャラリースペース、art cruise gallery by Baycrew’sにて2025年1月13日(月)まで開催中。
ペンシルバニア州ピッツバーグ出身のソール・ライターは、「Esquire」などのカバーデザインを数多く手掛けたヘンリー・ウルフがアートディレクターに就任した「Harper’s BAZAAR」でフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。その後、毎号のようにファッションエディトリアルに起用されるなど、瞬く間に頭角を表すと「ELLE」やアメリカ版「VOGUE」などで活躍。しかし、広告写真におけるトレンドの移ろいや元々、ソール・ライター自身がファッション写真に関心が低かったこと、さらに名声を上げることを好まない本人の性格もあり、徐々に第一線を退くと、1981年にはニューヨーク5番街にあった商業写真用のスタジオを閉鎖する。以降、表舞台からはパッタリと姿を消し、ほぼ隠居状態のような形で個人的な作品制作を続ける余生を過ごした。
それでも、1933年にカラー写真制作のために写真用品メーカーのイルフォード社から資金提供を受けると、過去に撮影されたカラー作品をプリントし直してニューヨークのHoward Greenberg Galleryで個展を開催。その展覧会で、ソール・ライターの先見性に触れた同ギャラリーのスタッフで、現在はソール・ライター財団の代表を務めるマーギット・アーブの尽力もあり、膨大なアーカイブの発掘/整理を開始する。2006年にドイツの出版社シュタイデルから上梓された初の写真集「Early Color」は、世界中で大きな話題を集め、キャリア晩年になって“カラー写真のパイオニア”として、再び光の当たる世界へと引きずり出されることとなった。以降も世界各地で展覧会の開催や写真集の刊行が相次ぎ、2013年に89歳で逝去した後も、今後数十年かかると言われる未発表作品の整理も含めて、死してなお“発展途上の写真家”であり続けている。
本展は、ソール・ライター財団監修のもと、没後に発見されたカラーポジから新たにプリントされた作品44点を日本初公開で紹介するもの。ソール・ライター財団では、未整理のアーカイブをデータベース化する「スライド・プロジェクト」を現在も続けており、ソール・ライター生誕100周年にあたる2023年には、厳選された未公開のカラー作品約150点を写真集とプロジェクションという形で発表している。東京でも同年、渋谷のヒカリエホールで個展が開催されたが、今回の展覧会も数万点にも及ぶと言われている膨大な未発表作品の一端を垣間見える、貴重な機会となりそうだ。
“カラー写真のパイオニア”による唯一無二の色彩世界を、ぜひ本展で体感してみてはいかがだろう。
会期:開催中(2025年1月13日まで)
会場:art cruise gallery by Baycrew’s
東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー3F SELECT by BAYCREW’S 内
時間:11:00~20:00(最終入場は19:30まで)
休館日:不定休
入場料:無料
artcruisegallery.com