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マリ出身のミュージシャン,インナ・モジャが
アフリカを救う緑地計画に尽力するドキュメント。
ENTERTAINMENT Apr 13, 2023
フランスを拠点に活動するミュージシャン、インナ・モジャが音楽で人々を繋ぎ、史上最大規模の緑地プロジェクトを実現するために、気候変動の最前線へと旅するドキュメンタリー「グレート・グリーン・ウォール」が、4月22日(土)より、シアター・イメージフォーラム他にて全国公開される。
本作は、西アフリカはマリ共和国出身の俳優/歌手/環境活動家であり、砂漠化対処条約(UNCCD)ランドのアンバサダーを務めるインナ・モジャが、壮大なアフリカンドリームを成功させるために行ったアフリカ横断の旅に密着したドキュメントである。
映画の舞台となるサハラ砂漠の南側に位置するサヘル地域は、砂漠化が進む地球上で最も脆弱な場所のひとつ。世界平均の1.5倍の速さで気温上昇が進むこの地域では、砂漠化や干ばつなどの深刻な土地劣化に加え、食糧不足が引き起こす紛争の過激化などにより、生活そのものが脅かされた人々は故郷を捨て、移民を余儀なくされている。加速する気候変動を食い止めるため、2007年よりアフリカの国々主導により大陸を8,000kmにわたって横断する人類史上最大規模の植林プロジェクト、グレート・グリーン・ウォール(緑の長城)計画がスタート。豊かな生態系を復活させ、肥沃な土地を作り、サヘル地域の数百万人の生活を変革することを目的にしたこの計画。完成が予定される2030年までに、劣化した土地を1億ヘクタール回復させ、2億5000万トンの炭素を吸収し、1000万人の雇用創出を目標に掲げている。
アフリカ最西端のセネガルから始まり、最終目的地であるエチオピアを目指すインナ・モジャは、その道中、セネガルのヒップホップのオリジネーター、ディディエ・アワディをはじめ、マリのブルースバンド、ソンゴイ・ブルースやナイジェリアのポップスターであり、紛争の影響を受けている少女や女性を支援するワジェなどと楽曲を制作し、アフリカ各地でライブを重ねていく。「紛争で危険にさらされるのは常に女性」だからと、特に女性支援に情熱を燃やすモジャは、過激派組織ボコ・ハラムによって目の前で父親を失った少女と出会うなど、度々現実の過酷さに衝撃を受ける。かつて自分自身もアフリカで広く繰り返されてきた女性を抑圧する慣習の被害者であった彼女は、それでも「夢を信じてほしい」と、夢を抱けるアフリカのためにメッセージを発信し続けるのだった。
砂漠化対処条約(UNCCD)のグレート・グリーン・ウォール・イニシアティブの調査によると、エチオピアでは畑や森林の復元など、これまで計100万ヘクタールの土地が修復され、21万超の雇用を創出。同様にブルキナファソ、ナイジェリア、セネガル、スーダンなどでもプロジェクトは大きな成果を上げているという。本作をきっかけに、同プロジェクトやアフリカ各国が置かれている現状について学んでみてはいかがだろう。
4月22日(土)より、シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
監督、脚本:ジャレッド・P・スコット
制作総指揮:フェルナンド・メイレレス他
出演:インナ・モジャ、ディディエ・アワディ、ソンゴイ・ブルース、ワジェ、ベティ・G他
2019年|イギリス|92分|ドキュメンタリー
配給:ユナイテッドピープル
©GREAT GREEN WALL, LTD
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