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伝説のジャズマン,チェット・ベイカーの晩年を
ブルース・ウェーバーが捉えたドキュメンタリー。
ENTERTAINMENT Dec 4, 2025
名盤「チェット・ベイカー・シングス」(1954)などで知られるジャズトランペッター/シンガー、チェット・ベイカーの最晩年を追ったドキュメンタリー映画「レッツ・ゲット・ロスト〈4Kレストア〉」が、 新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町他にて全国公開中。
本作は、1988年5月に不慮の事故で逝去した伝説のジャズマンに密着したもので、初公開から37年の時を経て、4Kデジタル版での待望のリバイバル上映となる。監督を務めたのは、「Calvin Klevin(カルバン・クライン)」のアンダーウェア広告などを手掛けたアメリカのファッションフォトグラファー、ブルース・ウェーバー。ウェーバーは、1950年代から心を奪われ続けてきた憧れのスターの肖像を、ロマンティックな視点で捉えながら、彼自身の美学を通した様々な“演出”を織り交ぜ、関係者へのインタビューによる証言とともにベイカーの破壊的な人生と私生活を明らかにしていく。ウエストコースト ジャズを代表する存在でありながら、ドラッグに溺れて、逮捕・服役を繰り返し、数年間にわたり活動を中断するなど、破天荒そのものであったベイカー。本作では、そのフォトジェニックな美貌すらも枯れて崩壊した不安定なジャンキーの姿を、光と影が混ざり合う美しいモノクロームの映像によって、まるでファンタジーと現実が同居したかのように詩情豊に描いた。
ドキュメンタリーを謳ってはいるが純粋な記録映画とは異なり、監督のウェーバーによって様々な演出が施されているのは先述したとおり。例えば、フランスのブランド「agnes b.(アニエスベー)」が衣装協力を担い、女性を隣に座らせたベイカーが帆を開けたキャデラックの後部座席に陣取り、米西海岸のパシフィック・コースト・ハイウェイを疾走するシーンがカットバックで挿入される。これは、古き良きアメリカの夢を追憶するかのようなウェーバーにとって理想のチェット・ベイカー像を具現化したイメージが作為的に盛り込まれているのだ。また、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト、フリーや若き日のベイカーによく似た俳優/シンガーソングライターのクリス・アイザックらの姿を見ることができる。
なお、オフィシャルサイトには、11月に行われた音楽評論家の柳楽光隆と映画評論家の森直人による公開記念トークが掲載されている。本作と併せて見ることで、当時の時代背景やドキュメンタリーにおける演出方法の変化など、より理解が深まる内容となっているので、そちらもぜひご一読を。
新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、アップリング吉祥寺。YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国順次公開。
監督:ブルース・ウェバー
作総指揮:ナン・ブッシュ
撮影:ジェフ・ブライス
音楽:チェット・ベイカー
編集:アンジェロ・コラオ(119min)
提供:JAIHO
配給:SPOTTED PRODUCTIONS/TWIN
1988|アメリカ|
www.letsgetlost4k.com