NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
スクリーンの光によって劇場の装飾が露わになる,
杉本博司の作品「オペラ劇場」が国内初公開。
ART Oct 28, 2022
現代美術作家として世界的な評価を集める杉本博司の個展「OPERA HOUSE」が、11月6日(日)までギャラリー小柳で開催中。
本展は、杉本の作品「オペラ劇場」シリーズが、国内で初めて一堂に会する貴重な機会。同シリーズは、ヨーロッパにある数百年を経たオペラ劇場を、杉本が1970年代より制作を続けている「劇場」シリーズと同じ手法を使って撮影されたもの。後に製作される「廃墟劇場」と併せて、劇場の歴史的な変遷を見せてくれる。
「オペラ劇場」は、舞台上にスクリーンを設置し、名作といわれる古典映画を上映した状態で撮影を敢行。カメラの露光時間を各映画の上映時間に設定し、スクリーンへ照射される数十万枚もの映画フィルムのコマを1枚の写真フィルムに収めることでスクリーンは白く光る矩形となり、その光によってオペラ劇場内部の装飾が浮かび上がる。
同様の手法が取られた「劇場」では、映画館を横構図で撮影したのに対し、その建築的な構造から「オペラ劇場」は縦構図で撮影。スクリーンのある舞台側だけでなく、スクリーンからの光によって照らされた客席側も作品として発表されている。
本シリーズの制作にあたり、杉本はイタリアの古典的なオペラ劇場を皮切りにフランスへと創作の源泉となる旅を続けた。その中で、2018年にヴェルサイユ宮殿の小トリアノンで行われた個展「SUGIMOTO VERSAILLES」で発表されたマリー・アントワネットが自身のためにつくった小劇場を杉本が撮影した作品や、2019年にガルニエ宮オペラ座を撮影した作品も併せて展示される。
会場では、「オペラ劇場」で投映された名作映画のストーリーを杉本自らが要約し、テキスト化されたものを用意。作品と併せてテキストを読みながら、映画というフィクションの世界からの光に照らされたリアルなオペラ劇場の姿をじっくりと堪能してみてはいかがだろう。
会期:開催中(11月6日まで)
会場:ギャラリー小柳
東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル9F
開廊時間:12:00~19:00
休廊日:日、月、祝祭日
*「ART WEEK TOKYO」開催中は下記の通り開廊いたします。
11月3日(水、祝)~6日(日)
*会期中無休
10:00~18:00
TEL:03-3561-1896
www.gallerykoyanagi.com