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美しさに潜む異物や違和感をのぞき見る,
「あやしい絵」展が好評開催中。
ART Apr 2, 2021
東京国立近代美術館では、“あやしい”というテーマのもと、幕末から昭和初期の様々な作品を集めた展覧会「あやしい絵」展を開催している。
西洋からの影響を受けて明治以降に生み出された芸術作品の中には、退廃的、妖艶、グロテスク、エロティックといった、単に美しくて綺麗なものとは異なる表現があり、それらは当時の社会規範と照らし合わせて賛否両論を巻き起こした。だか、激動の時代を生きる人々の欲望や不安を映し出したものとして、文学などを通して大衆にも広まり、後世には優れたアート作品として正しく評価されたものも多い。「あやしい絵」と銘打った本展では、全国各地の美術館に収蔵されている絵画、版画、雑誌や書籍の挿図を中心に、“美しい”だけでは括ることにできない魅力を持つ作品群を集めて展示している。
その一部を紹介すると、一見すると美しく上品に装った女性だが、肌の生々しさが官能的な雰囲気を醸す、甲斐庄楠音 作「横櫛」、嫉妬や怒りといった負の感情がその何とも言えない表情や、蜘蛛の巣と籐の花という一癖ある着物の図柄に現れている上村松園 作「焰」(4月4日まで展示)。
さらに、恋した男性を石に閉じ込めてしまう魅惑的な女性を描いたダンテ・ガブリエル・ロセッティ 作「マドンナ・ピエトラ」、蛇に巻きつかれた男女が接吻を交わす様を切り取った橘小夢 作「安珍と清姫」など、どれも神秘性やミステリアスさを備えつつ、鑑賞者のイマジネーションを増幅させるような奥深い魅力を放っている。この作品の“あやしさ”はどこなのか? 作品から滲み出る得体の知れない“あやしさは”一体何なのか? それらを解き明かす楽しさや難解さも本展ならではの体験と言えるだろう。
“絵に潜む真実、のぞく勇気はありますか?”というキャッチフレーズも印象的な「あやしい絵」展は、5月16日(日)まで開催中。
会期:開催中(5月16日まで)
時間:9:30~17:00(金・土は20:00まで)
*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(5月3日は開館)、5月6日(木)
観覧料:一般¥1,800/大学生¥1,200/高校生¥700
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
東京都千代田区北の丸公園3-1
ayashiie2021.jp
TEL 050-5541-8600
www.momat.go.jp