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時代を超えた美しきモダニティ,
再評価高まる,小村雪岱の展覧会が開催中。
ART Apr 6, 2021
大正から昭和初期にかけて、商業美術の世界において先駆的な存在であった小村雪岱(こむら せったい)の足跡を辿る展覧会「小村雪岱スタイル―江戸の粋から東京モダンへ」が三井記念美術館で開催中。
小村雪岱は、昨年没後80年を迎えた装幀家/画家であり、その他にも舞台美術や木版画を手掛けるなど、様々な分野において天賦の才を発揮した人物。また発足間もない資生堂意匠部では、商品や広告に携わり、現在も使い続けられている資生堂書体を作り上げるなど、名前を知らずともその作品を目にしたことがある人も多いだろう。ただ、高尚な芸術の世界ではなく一貫して商業美術を主戦場としていたことから、美術史においてはこれまであまり語られることがなかったが、その圧倒的な仕事量と“意匠の天才”とも称される、比類なきクリエイティビティは、近年改めて再評価の機運が高まっている。
本展では、泉鏡花や谷崎潤一郎などの名だたる文豪の名作を彩った装幀や、東京美術学校で培った確かな技術が見て取れる肉筆画、さらに歌舞伎の舞台美術を手がけた際の舞台装置の原画に加え、雪岱の死後、貴重な原画が戦災によって消失することを危惧した有識者によって作られた木版画などが多数展示される。また、雪岱の作品だけに留まらず、その美しい世界観を培う土壌となった江戸~明治期にかけての貴重な工芸品や、雪岱スタイルを継承する現代の作家達が本展のために制作した新作を展示することで、「江戸の粋」から「東京モダン」へと辿る系譜を作品と共に振り返ることができる。
改めて作品を見ると、抑制の効いたタッチと精緻な描写、さらに類い稀な構図センスや言葉以上に訴えかけてくる情感の表現力など、およそ100年以上前の作品とは思えないほどの斬新さといまの時代にも通づるモダニティを感じさせる。
なお、会期は4月18日(日)までと残りわずかになっているので、写真では伝わりきらないその繊細かつ洗練された美の世界を実際に体感してみてはどうだろう。
会期:開催中(4月18日まで)
時間:11:00~16:00(入館は15:30まで)
休館日:月曜日
入館料:一般¥1,300(¥1,100)/大学、高校生¥800(¥700)/中学生以下無料
*70歳以上の方は¥1,000(要証明)
*リピーター割引:会期中一般券、学生券の半券のご提示で、2回目以降は( )内割引料金となります
*障害者手帳をご呈示いただいたお客様、およびその介護者(1名)は無料です
会場:三井記念美術館
東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mitsui-museum.jp