NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT DEC, 2024
FASHION STORY
SWAG H.が手掛けてきたエディトリアルのアーカイヴス。
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FROM EDITOR
SWAG H.編集長,奥澤 健太郎によるFree Styleコラム。
SWAG HOMMES
SSUE21
HOLIDAYS 2024
“HOLIDAYS”をテーマに綴るメッセージ!!
SWAG H.編集長によるエディターズレター。
FROM EDITOR Nov 29, 2024
# from editor # holidays # issue21 # music
“聖なる夜と、幸福な王子”
聖なる夜、枕もとに靴下とメッセージをそえてサンタクロースに願いつづけたこと、はじめて口にするローストチキン、母親がつくってくれたくずれかけのふわふわのショートケーキ、子供向けのシャンパンで乾杯したこと、クラスメイトの家でプレゼント交換したこと、バイトして貯めたお金で買ったティファニーのネックレスを握りしめてディズニーランドへ行ったこと、野郎だけでクラブで朝まで踊り明かしたこと……クリスマスが近づいてくるとなぜだか、あの匂いや香り、温もり、それに音楽までが染みついたまま、あのころの思い出が鮮明によみがえってくる。
たまには、懐かしいレコードでも聴いて、そんな思い出に浸るのもわるくないなと、レコードと本をおさめているラックをあさっていたら、ふとオスカー・ワイルドの童話集「幸福な王子」が目について、久しぶりにページをめくってみることにした。
町の空高く、高い円柱の上に、幸福な王子の像が立っていました。全身うすい純金の箔(はく)がきせてあり、目にはふたつのきらきらしたサファイアが、また大きな赤いルビーが刀の柄(つか)に輝いていました。
一日じゅう、つばめは飛びつづけ、夜になってこの町に着きました。「どこに泊まろうかな? 町で用意をしてくれてるといいんだがな」。そのとき、高い円柱の上の像が目にとまりました。「あそこにとまろう。さわやかな風のかよういい場所だ」。そうして幸福な王子の両足のまんなかにとまりました。「金の寝室ができた」。あたりを見まわしながら、つばめはそっとひとりごとを言って、寝る支度をしました。ところが、頭を翼の下へ入れようとしていた、ちょうどそのとき、大きな水のしずくが体にたれかかりました。
幸福な王子の目が涙でいっぱいになり、黄金の頬(ほお)を涙が流れ落ちていたのです。……「あなたはどなたですか?」。「わたしは幸福な王子だ」。「それじゃあなぜないてらっしゃるのです? おかげでびしょ濡れになってしまいましたよ」
「わたしが生きていて人間の心をもっていたころは、涙とはどんなものか、知らなかった。無憂宮(サンスーシ)に住んでいたからで、そこへは悲しみがはいることを許されていないのだ。昼間は仲間と庭で遊び、夜になるとわたしは大広間で舞踏(ぶとう)の先頭に立った。庭のまわりにはとても高い塀がめぐらしてあったが、その塀の向こうには何があるのか、聞いてみたいとも思わなかった。まわりのものがみんなそれほどきれいだったから。廷臣(ていしん)たちはわたしを幸福な王子と呼んだし、わたしもじっさい幸福だったのだ、もし快楽が幸福であるとしたらね。そんなふうにわたしは生き、そんなふうにわたしは死んだ。ところが死んでしまうと、みんなはわたしをこんな高いところに立てたものだから、わたしの町の醜(みにく)さとみじめさがすっかり見えてしまうのだ。そしてわたしの心臓は鉛(なまり)でできてはいるが、それでもわたしは泣かずにいられないのだ」
「ずっとむこうの小さな通りに、貧しい家が一軒ある。窓がひとつあいていて、テーブルに向かって座っている女の姿が窓ごしに見える。顔はやせて、やつれており、がさがさした、赤い手、針の跡だらけの手をしている、針子なのでね。女王の官女のなかでいちばんきれいなひとが、今度の官中舞踏会で着る繻子(しゅす)のガウンに、トケイソウを縫いとっているのだ。部屋の片隅の寝台に、その女の小さい男の子が病気で寝ている。熱病にかかっていて、オレンジをほしがっている。母親には川の水しかやるものがないので、子供はおいおい泣いている。つばめさん、つばめさん、小さいつばめさん、この刀の柄(つか)からルビーをはずして、その女のところへ持っていってやってくれないか? わたしの足はこの台座に作りつけになっているので、動けないから」
冬が迫り、仲間のいる暖かいエジプトに早く渡りたいつばめだったが、死後に住民たちのみじめさに気がついた王子を憐れみ、王子の願いを叶えるために使者となっていく。刀の柄にきらめく赤いルビーを貧しい親子へ、目に輝くサファイアを、寒さで字を書けない劇作家の青年と売り物のマッチをドブに落としてしまったマッチ売りの少女へ、さらには純金で覆われた箔を、つばめが一枚一枚ひき剥がし貧しい人々のところへ……。
とうとう鈍い灰色の体になってしまった王子を置き去りにして、エジプトへ行こうとはしなかったつばめは、しだいに寒さとともに衰弱していく。「さようなら、王子さま! お手にキスさせてくださいませんか?」。「わたしのくちびるにキスしなさい、わたしはおまえを愛してるいるのだから」。最期に、心から愛していた王子のくちびるにキスをすると、王子の足もとへ落ちて息絶える。その瞬間、何かかがこわれるような、びしりという奇妙な物音が像の内側で鳴り響き、鉛の心臓が、ぱちりと真っ二つに割れてしまう。あくる朝、像を見上げた市長が、「おやおや! 幸福な王子はなんて見すぼらしい!」。「まったくのところ、乞食(こじき)も同然だ!」と、像を引きおろし、つばめの死骸がころがっている塵(ちり)の山へ、鉛の心臓を投げ捨てたのだった。
「町じゅうでいちばん貴(とうと)いものをふたつ持ってきなさい」と、神さまが天使の一人に言われました。そこで天使は鉛の心臓と死んだ小鳥を神さまのところへ持っていきました。「お前の選択は正しかった」と、神様は言われました。「天国のわたしの庭で、この小鳥が永遠に歌いつづけるようにし、vわたしの黄金の町で幸福な王子がわたしを賞(ほ)めたたえるようにするつもりだから」
アイルランドに生まれ、「ドリアン・グレイの肖像」、「サロメ」ほか数々の名作を残し、豪華絢爛で快楽と芸術を愛し、女性雑誌の編集長時代はダンディな服装の社交家としてその名を馳せるも、人生の終盤は同性愛行為の罪で投獄され、出獄後まもなく移り住んだパリで破滅的な死を遂げた詩人、作家のオスカー・ワイルド。美と反逆に彩られた46年間の生涯のなかでも最高傑作とたたえられる「幸福な王子」は、1888年5月、ワイルドが34歳のときにロンドンの書店、デイヴィッド・ナットからリリースされた。
今もなお、世界中の子供から大人にまで読み継がれている残酷ながらも心温まるワイルドの美しいストーリーテリング。本当の幸せとは、本物の愛とは、何なのだろうか、幸福な王子のそんな魂の声が聞こえてくる。
今年も、そろそろ夜の街がきらめこうとしているようだ。聖なる夜が、気の知れた家族や友人、彼氏や彼女、あるいは故郷(ふるさと)で待つお父さんやお母さんやおいじちゃんやおばあちゃんたちと、愛に満ちあふれた思い出になることを切に願いたい。
SWAG HOMMES 編集長 奥澤 健太郎
SWAG HOMMES ISSUE21
ORIGINAL EDITION
amzn.asia/d/2RPwCSM
SWAG HOMMES ISSUE21
ANOTHER EDITION
amzn.asia/d/8tDBoZT
“New Generation, New Wave”をキーコードに、“カウンターカルチャーとレベルミュージック”、そして“語りかけてくる服”をテーマに、カッティングエッジな最新のモードを、全編にわたりファッションストーリーで構成する唯一無二のハイファッション ヴィジュアル マガジン「SWAG HOMMES」。ジャズ、ソウル、ヒップホップetc. ブラックカルチャーに影響を受けてきた編集長が名づけたタイトル“SWAG(スワッグ)”とは、90年代のヒップホップカルチャーから生まれた“自信に満ちたオリジナリティ溢れるスタイル”を表すスラング(俗語)。2015年創刊、本年より年3回刊行(3月末、9月末、11月末)。
INSTAGRAM
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感性を刺激するテーラードスーツを主役に,
特別な日を彩るファッションストーリー。
FASHION STORY Dec 3, 2024
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鮮やかな深紅が広がる壮大な自然と調和する
「ジルサンダー 」最新号カバーストーリー。
FASHION STORY Dec 2, 2024
# holidays # issue21 # jil sander # lucie & luke meier # lucie meier # luke meier
冬の装いを彩る”HOLIDAYS”をテーマに,
多彩な物語(ファッションストーリー)を紡ぐ。
FASHION Nov 29, 2024
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“MODERN ECCENTRIC”をテーマに綴る,
SWAG H.編集長によるエディターズレター。
FROM EDITOR Sep 30, 2024
# from editor # issue20 # makaya maccraven # modern eccentric # musician
“NEW MASCULINITY”をテーマに綴る,
SWAG H.編集長によるエディターズレター。
FROM EDITOR Mar 29, 2024
# david bowie # from editor # issue19 # musician # new masculinity
最新号“HOLIDAYS 2023”に込めた想いを,
SWAG H.編集長が綴るエディターズレター。
FROM EDITOR Nov 29, 2023
最新号のテーマ“REBORN”に込めた想いを,
SWAG H.編集長が綴るエディターズレター。
FROM EDITOR Sep 28, 2023
テーマ“LIBERATION(解放)”に込めた想いを,
SWAG H.編集長が綴るエディターズレター。
FROM EDITOR Mar 30, 2023
# from editor # hiphop # liberation # madlib # musician # talib kweli
十人十色でいいんじゃないの。自分にとって
心地いいフィーリングを最優先に信じて……。
FROM EDITOR Sep 28, 2022
# channel orange # frank ocean # from editor # hiphop # lgbtq # musician # personality
モードとヒップホップ,そしてヴァージルたちの
飽くなき夢に僕らの想いも重ねて……。
FROM EDITOR Apr 1, 2022
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ただのフォーマルやドレスアップの提案ではない,
SWAG H.が提唱する“ドレスコードの新解釈”。
FROM EDITOR Sep 29, 2021
SWAG H.編集長の奥澤 健太郎が,
最新号へ込めたピースフルな気持ち。
FROM EDITOR Mar 30, 2021
ユニバーサル ミュージックの新アパレルブランド,
「U/MUSIC」誕生! 丸龍文人がパターンを担当。
FASHION Nov 22, 2024
# def leppard # imagine dragons # music # pantera # rock # scorpions # t-shirt # the who # universal music
「デイズド」と「バイレード」が開催したパーティに,
Cardi B,Ice Spiceら,豪華ゲストが続々来場!!
ENTERTAINMENT Oct 7, 2024
# ben gorham # byredo # celebrity # dazed # hiphop # music # paris # party # rap
デフ・ジャム創始者にして音楽プロデューサー,
リック・ルービンによるプレイリストが公開中!!
FASHION Aug 2, 2024
# balenciaga # balenciaga music # demna # music # playlist # rick rubin
瀧見憲司率いるCRUE-LとWAVEによる第2弾。
Tシャツ&ヴァイナルの発売他,パーティも開催!!
FASHION Jul 31, 2024
# collaboration # crue-l # music # party # record # vinyl # wave # 瀧見憲司
映画監督/作家であるハーモニー・コリン率いる
EDGLRDが,多数のイベントを渋谷で開催。
ART May 30, 2024
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DJ/プロデューサー,Mars89が新レーベル始動。
アート集団との共作によるアルバムもドロップ!!
FASHION Apr 18, 2024
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音楽で世界を変えた唯一無二のアーティスト,
ボブ・マーリー激動の生涯を描いた真実の物語。
ENTERTAINMENT Apr 11, 2024
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坂本龍一の生前最後のピアノ演奏を記録した,
コンサート映画公開! 自ら選曲した20曲で構成。
ENTERTAINMENT Apr 9, 2024
# movie # music # ryuichi sakamoto # ryuichi sakamoto | opus #movie # 坂本龍一
高谷史郎,ダムタイプら国内外の芸術家が参加。
坂本龍一の活動を未来に提示するトリビュート展!
ART Feb 5, 2024
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ボブ・マーリーの母国での伝説的ラストライブ,
「レゲエ・サンスプラッシュ」を収録した記録映画。
LIFE STYLE Feb 1, 2024
# bob marley # burning spear # documentaries # movie # music # peter tosh # reggae # stefan pohl # third world # ボブ・マーリー ラスト ライブ イン ジャマイカ レゲエ サンスプラッシュ デジタルリマスター
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HOLIDAYS 2024