“HOLIDAYS”

長らく続いたパンデミックによる規制から解き放たれる23年の冬、ようやく迎えることができるホリデーシーズン。ざわめく街、きらめく光、心踊るパーティに、食卓に美しく並ぶ美しいごちそうたち……。いくつになっても信じていたい、サンタクロースからのクリスマスプレゼント。海へ、山へ、川へ、街へ……、憧憬の地への自由な旅。あるいは、故郷への帰省。最愛の家族や恋人、友と過ごす特別な時間。もしくは、だれにも邪魔されないひとりの贅沢な時間……。めぐりめぐる、そんなホリデーシーズンの情景を思い浮かべながら最新モードとともに描いた物語の数々……。

中世の雰囲気が残るパリ郊外、詩人、映画監督、画家など、多彩な芸術家として活躍したジャン・コクトーが、晩年を過ごしたというミリィ・ラ・フォレという小さな村(表紙に写る自ら手掛けた礼拝堂に、コクトーは眠る)を舞台に、バレンシアガの最新コレクション｢Spring 24｣をフィーチャーした巻頭カバーストーリー｢Lieu de Souvenirs(思い出の場所)｣。

｢現在の時間も過去の時間も、おそらく未来の時間の中に存在し、未来の時間は過去の時間に含まれている……｣。イギリスの詩人、T.S.エリオットの｢Burnt Norton｣を着想源に、千葉県いすみ市の夷隅川のほとりに構えるSWAG HOMMESのアトリエとヤードで撮影を敢行した｢The Still Point(静止点)｣。同世代のスタイリスト、高橋ラムダ氏と僕らが10代のころに夢中になったストリートのムードと、現在のモードを紡ぎ、次世代と未来へ想いを馳せる渾身のファッションストーリー。

豊かな自然が織りなす神秘的な景観美とともに、モノクロームの世界で表現したエルメスのエディトリアル｢sounds｣。着想源は、アメリカにおける自然保護活動の根本となる思想を築いたといわれる、H.D.ソロー｢Walden(森の生活)｣。

ミニマルかつ洗練されたデザインに上質を極めるザ・ロウの最新コレクション｢Spring 24｣。20年からスタートしたブランドのマンスリープレイリストの1曲目にセレクトされたエルヴィス・プレスリーの心温まる名曲｢Can’t Help Falling in Love(好きにならずにはいられない)｣をタイトルに。

花言葉は、色褪せぬ愛情、誇り、至上の美……。メゾンの永遠のコードでもある“カメリア”が咲き誇る｢シャネル FW23-24 プレタポルテ コレクション｣を、自然体で飾らないパーソナリティが魅力の俳優の安藤サクラが、自由なアティチュードでノスタルジックに、ロマンティックに魅せる｢Unfading Flower｣。

映画｢私をスキーに連れてって(87年)｣、JR東海CM｢クリスマス・エクスプレス(89年)｣に触発されたロードムービー仕立ての｢THE DAY(最高の日、最高の雪質)｣。バレンシアガ初となるスキーウェアコレクションを纏い、ラッパーのLEXとモデル・女優のモトーラ世理奈が共演。

モードラヴァーがときめく、珠玉のホリデーアイテムたちを、アヴァンギャルドなヴィンテージ家具店｢YOU ARE WELCOME｣によるモダンなプロップとともに、オブジェのように見立てた｢THE GIFTING HOLIDAYS 23｣。

ホリデーシーズンを彩るカルティエのプレシャスなジュエリーとウォッチが主役の｢DRIP｣では、ジェンダーフルイド(流動的な性)を背景に、新しい時代の自由で解放的な装いを体現。

建築家の吉村順三が設計した箱根山のリゾートマンション(64年竣工)の一室を舞台に、セリーヌのスタイリッシュなトラベルアクセサリーやホームアイテムとともに展開するトラベルストーリー｢in stillness｣。

ファッション、アート、ミュージックの世界で、クリエイターとして、パフォーマーとして、ヴィジョナリーとしての地位を確立してきたファレル・ウィリアムスによるルイ・ヴィトンのファーストコレクションを、俳優の町田啓太が着飾る｢LOUIS VUITTON MEN’S SS24 LVERS BY PHARRELL WILLIAMS｣etc…。

2023年も残すところ、あとわずか……。今年一年がどのような年であったとしても、また現在、どのような環境や状況におかれていたとしても、それぞれが思い描く、心高鳴る特別なホリデーシーズンを迎えられるように……、世界中が喜びと祝福に満ち溢れるように……切に祈りたい。

SWAG HOMMES 編集長 奥澤 健太郎