NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
今なお色褪せないシスターフッド映画の金字塔,
「テルマ&ルイーズ」が4Kレストア版として蘇る。
ENTERTAINMENT Feb 9, 2024
1991年に公開されたリドリー・スコット監督渾身のロードムービー「テルマ&ルイーズ 4K」が、2月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国ロードショーされる。
本作は、リドリー・スコット監督にとって初のアカデミー賞監督賞ノミネート作品であり、それまで「エイリアン」(79)、「ブレードランナー」(82)、「ブラックレイン」(89)などSF、アクション映画のヒットメーカーというイメージの強かったリドリーが、作風をがらりと変え、女性2人を主役に据えた新たな代表作を作り上げた分岐点でもある。実際に、1992年のアカデミー賞では、監督賞以外にも主演女優賞(スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス共に)、撮影賞、編集賞、脚本賞にノミネート。脚本賞を受賞したカーリー・クーリは、同年のゴールデングローブ賞でも脚本賞を獲得。女性2人の冒険と友情をエネルギッシュに描き“女性版アメリカン・ニューシネマ”とも評された90年代を代表する傑作ロードムービーが、リドリー・スコット監督監修のもと、オリジナルネガからの4Kレストアとして33年振りにスクリーンに蘇る。
グランドキャニオンにある架空の街を舞台に、2人の女性を中心にストーリーは展開される。平凡な主婦のテルマ(ジーナ・デイヴィス)とウェイトレスのルイーズ(スーザン・サランドン)は、週末のドライブ旅行へと出発。その途中、立ち寄った店の駐車場でテルマが男に襲われそうになり、助けに入ったルイーズが護身用の拳銃で男を射殺してしまう。さらに次から次へとトラブルが重なり、警察に指名手配された2人は、車でメキシコを目指し逃避行を続けるうちに自分らしい生き方に目覚めていく……。
抵抗と自由を求める女性という革新的なキャラクターに力強い輪郭を与えるのが、1966年製フォード・サンダーバード・コンバーチブルだ。ユタ州のデッド・ホース・ポイントの壮大な風景美の中を2人を乗せて疾走する姿は、逃避行を通して徐々に自分らしさを取り戻していくリセット装置としての機能を備えている。そして、本作を語る上で最も重要なのが、性的被害を受けた“女性の正義”というテーマである。脚本家のカーリー・クーリは、2021年にベントンビル映画祭で開催された30周年記念上映会に出席した際、ハーベイ・ワインスタインやビル・コスビーを例にとり、権力の傾斜を利用して凶悪な性犯罪を起こしている有名な男性が存在すること、そして被害を受けた女性に正義がもたらされないという状況を訴えるために、「テルマ&ルイーズ」の脚本を作ったと語っている。また、1991年の公開当時、女性が被害にあった性犯罪において正義を見出すことは稀であり、それは今でも変わらないことを憂いている。(出典:映画.com【「テルマ&ルイーズ」公開30周年】脚本家が訴えた「女性と正義」の関係、ブラピが演じた役にまつわる秘話」eiga.com/news/20210818/4/)。
こうしたカーリー・クーリの想いは多くの人々に届き、2016年開催のカンヌ国際映画祭では、公開から25年を記念した上映が行われ映画界のすべての女性に光を当てて、男女間の不平等や女性の地位向上を目指すプログラムである「ウーマン・イン・モーション」賞が贈られるなど、フェミニズムの観点からも記念碑的作品として現在に至るまで支持を集め続けているのだ。
初公開から30年以上経っても今なお色褪せることのないシスターフッド映画の金字塔「テルマ&ルイーズ 4K」を、この機会にぜひお見逃しなく。
2月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ館他、全国順次公開
監督、製作:リドリー・スコット
製作:ミミ・ポーク・ギトリ
脚本:カーリー・クーリ
撮影:エイドリアン・ビドル
音楽:ハンス・ジマー
出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、ハーヴェイ・カイテル、マイケル・マドセン、ブラッド・ピット
1991年|アメリカ|129分|THELMA&LOUISE|カラー|シネスコ|5.1ch
配給:アンプラグド
Thelma & Louise © 1991 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
unpfilm.com/thelma_louise/