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#MeToo運動を題材に,今日の職場環境における
様々なハラスメント問題を掘り下げた衝撃作。
ENTERTAINMENT May 26, 2023
Netflixオリジナルドラマ「オザークへようこそ」で3度にわたるエミー賞助演女優賞に輝くなど、今最も注目を集める若手俳優のひとり、ジュリア・ガーナーが主演を務める映画「アシスタント」が、6月16日(金)より新宿シネマカリテ他にて全国公開される。
本作は、「ジョンベネ殺害事件の謎」(2017)で知られるドキュメンタリー映画作家のキティ・グリーンが、2017年、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによる性的暴行事件に端を発した#MeToo運動を題材に、今日の職場環境における大きな問題を掘り下げた、自身初の長編映画である。
名門大学を卒業したばかりのジェーン(ジュリア・ガーナー)は、映画プロデューサーになるという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。業界の大物である会⻑のもと、ジュニア アシスタントとして働き始めたが、そこは華やかさとは無縁の殺風景なオフィス。早朝から深夜までお茶汲みやコピー取り、上司のランチの買い出しといった雑用や、平凡な事務作業に追われる毎日が続く。オフィスでは、常に女性や年少者が軽視され、常態化しているハラスメントの積み重ね……しかし、彼女は自分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来大きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないことも分かっている。ある日、会⻑の許されない行為を知ったジェーンは、この問題に立ち上がることを決意するが――。
ヒエラルキーの末端で働く人々の代弁者でもあり、平凡な主婦が家事労働のルーティーンを繰り返す中でフラストレーションを溜めていくシャンタル・アケルマン監督の傑作映画になぞらえて、現代のジャンヌ・ディエルマンとも言えるジェーン役を演じたのは、「オザークへようこそ」をはじめ、近年は同じくNetflixオリジナル「令嬢アンナの真実」(2022)で主役に抜擢された若手俳優、ジュリアン・ガーナー。今年3月には「グッチ」のフレグランスコレクション「GUCCI GUILTY」のニューフェイスとなるなど、スタイルアイコンとしてもアップカミングな存在として注目を集めている。本作においては、細かな演技の積み重ねによって、オフィスで働く人間の仕草やクセ、息苦しいストレス、そしてトップ企業に巣食うハラスメントや所謂“やりがい搾取”の空気と、末端社員である自らの信念との間の葛藤を巧みに表現。海外の主要メディアのレビューでは、「観客を虜にする、ジュリア・ガーナーの痺れるような演技。(Awards Circuit)」、「ジュリア・ガーナーの演技は並外れている。(DEADLINE)」など、彼女への絶賛が相次いだ。
24時間の間、まるで透明な存在のように様々な暴力の矛先になるジェーン。自分の意見はほとんど述べず、寡黙に状況を見つめる彼女の目を通じて、観客は自分が同じ立場ならどうするかを考えさせられるはずだ。同時に、本作はノンフィクションではあるが、先述したハーヴェイ・ワインスタインによる性的暴行を告発した2人の女性記者を描いた作品「SHE SAID/シー・セッドその名を暴け」(2022)にも連なる、職場のパワハラや性的虐待を許容し蔓延させているシステムへの痛烈な告発ともいえる。ひとつの確信によって、自らも気づかぬうちに組織のシステムに加担していることを知ったとき、ジェーンはどのような選択をするのか? 様々な職場やコミュニティが抱える問題とヒエラルキー最下層の人々に共通する辛い経験を浮き彫りにする映画「アシスタント」を、ぜひお見逃しなく。
6月16日(金)より新宿シネマカリテ、恵比寿ガーデンシネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開
監督、脚本、製作、共同編集:キティ・グリーン
出演:ジュリア・ガーナー、マシュー・マクファデイン、マッケンジー・リー
製作:スコット・マコーリー、ジェームズ・シェイマス、P・ジェニファー・デイナ、ロス・ジェイコブソン
サウンドデザイン:レスリー・シャッツ、音楽:タマール=カリ、キャスティング:アヴィ・カウフマン
2019年|アメリカ|英語|87分|2:1|カラー|原題:The Assistant
配給、宣伝:サンリスフィルム
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senlisfilms.jp/assistant/