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A24が北米配給権を獲得! ルーカス・ドンが描く,
イノセントな少年たちの残酷な悲劇と再生の物語。
ENTERTAINMENT May 31, 2023
自身、初の長編映画となる「Girl/ガール」で、数々の映画賞を獲得するなど鮮烈なデビューを飾ったベルギー出身の映画監督、ルーカス・ドンの最新作「CLOSE/クロース」が、7月14日(金)より全国公開される。
ルーカス・ドンにとって長編2作目となる本作では、学校という社会の縮図に直面した10代前半に、監督自身が抱いた葛藤や不安な想いを綴る思春期への旅の始まりを瑞々しく繊細に描き上げた。その結果、第75回カンヌ国際映画祭のグランプリ受賞をはじめ、第95回アカデミー賞国際長編映画賞へのノミネートなど、世界各国の映画祭で47受賞104ノミネートを果たすなど日本での公開前に早くも大きな話題を呼んでいる。加えて、「カモン カモン」や「mid90s ミッドナインティーズ」などを手掛けた映画制作、配給スタジオの「A24」が、北米配給権を獲得したことでその注目度はさらに高まった。
ストーリーは13歳の少年、レオとレミを中心に展開する。花農家の息子のレオと幼馴染のレミは、24時間365日共に時間を過ごしてきた親友以上でまるで兄弟のような関係だった。13歳になる2人は同じ中学校に入学する。入学初日、親密過ぎるあまりクラスメイトに「2人は付き合っているの?」とからかわれたレオは、レミへの接し方に戸惑い、次第にそっけない態度をとってしまう。 ある朝、レミを避けるように1人で登校するレオ。毎日一緒に登下校をしていたにも関わらず、自分を置いて先に登校したことに傷つくレミ。2人はその場で大喧嘩に。 その後、レミを気にかけるレオだったが、仲直りすることができず時間だけが過ぎていったある日、課外授業に何故かレミの姿はなかった。心ここにあらずのレオは、授業の終わりに母親から衝撃的な事実を告げられる。それは、予期せぬレミとの突然の別れだった。移ろいゆく季節の中、自責の念にかられるレオは、誰にも打ち明けられない想いを抱えていた……。
主人公のレオと幼馴染のレミを演じるのは、共に本作で俳優デビューとなるエデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ワエル。 奇しくもエデン・ダンブリンは、「Girl/ガール」で主人公のララを演じたビクトール・ポルスターと同じバレエスクールに通っていたという。14歳の時に電車内で偶然出会ったルーカス・ドン監督から、レオ役のオーディションを受けることを勧められ、見事に主役へと抜擢。子供でもなく大人でもないローティーン特有の繊細かつ揺れ動く心情をナチュラルに表現したふたりには、普段は手厳しいメディアをはじめ世界中から大きな賛辞が贈られることとなった。
そして見逃せないのが、ルーカス・ドン監督による演出テクニックである。レオが次第にレミを遠ざけるようにアイスホッケーに没入していく世界とは対照的な儚さを表現するために、色鮮やかで美しい花畑の風景が演出上、大きな役割を果たしている。監督によれば、この原風景は花農家に生まれたレオにとって子供時代の特殊な概念が反映されたものだという。秋になると行われる暴力的ともいえる花の切り取り作業をはじめ、季節の変わり目で生まれる視覚的にも明確な区切り、さらに冬が過ぎて花が植えられると再び色が戻っていく、希望と生命が続いていくことへのメタファー。それらの四季折々の風景や変化する様子は子供の悲しみの過程を伝えるために、よりコントラストを強調したかったのだと監督は語っている。
誰もが経験するであろう「後悔」と「孤独」。その積み重ねが人を強くする一方、劇中で描かれる少年の記憶は他の誰かにとってもいつかどこかで感じだ“あの日の痛み”を鮮明に甦らせる。それは、決してあの日には戻ることが叶わない大人になった鑑賞者の軌跡を辿るもうひとつの物語でもあるのだ。多くの観客にとって「思春期の強烈な記憶が蘇る–THE GLOBE AND MAIL誌」であろう、無垢な少年たちに起きた残酷な悲劇と再生の物語をお見逃しなく。
7月14日(金)より全国公開
監督:ルーカス・ドン
脚本:ルーカス・ドン、アンジェロ・タイセンス
キャスト:エデン・ダンブリン、グスタフ・ドゥ・ワエル、エミリー・ドゥケンヌ
2022年|ベルギー、オランダ、フランス|104分|ヨーロピアンビスタ|5.1ch|原題:Close|字幕翻訳:横井和子|G
配給:クロックワークス/STAR CHANNEL MOVIES
提供:クロックワークス 東北新社
©Menuet/Diaphana Films/Topkapi Films/Versus Production 2022
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