NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
味や食感,加熱時の機能性とアルゲンフリー。
すべてを補完したプラントベースの代替卵が誕生!
LIFE STYLE Feb 6, 2023
“ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)”とは、ポール・マッカートニーとステラ・マッカートニーが提唱する地球環境保護を目的としたキャンペーン。週に1度、月曜日だけでも肉を食べない生活を皆が意識することで、畜産飼育における穀物需要の増加とそれに伴う森林破壊や砂漠化、さらには温暖化の要因でもあるメタンガスの発生を少しでも防ごうという啓蒙活動でもある。SWAG H.では、このメッセージに共鳴し、毎週月曜日にベジタリアニズムやヴィーガニズムをはじめとする関連ニュースをお届けする。第79回は、植物生まれのたまごの開発および販売を行う「UMAMI UNITED JAPAN(ウマミ ユナイテッド ジャパン)」をピックアップ。
昨年3月に創業した「ウマミ ユナイテッド ジャパン」は、日本食のプラントベースブランドを手掛けるベンチャー企業。“ONE TABLEで未来を創る”をミッションに掲げ、持続可能な未来のために日本古来の食の知恵や技術、旨味に注目し、美味しいプラントベースフードを世界へ届けることを目指している。その第1弾として販売を開始したのが100%植物原料の代替卵「UMAMI EGG(ウマミ エッグ)」である。卵本来の味わいやテクスチャーの表現はもちろん、膨らむ、熱で固まる、乳化するといった調理科学側面から見た機能性に着目し、惣菜類だけではなく製菓分野にも使える汎用性に優れた食材を完成させた。アレルギー28品目すべてに対応する他、コレステロールフリーにもなるなど、代用品とは思えない万能なプラントベースフードといえよう。
プラントベースエッグの普及が望まれているのは、近年における鶏卵を取り巻く環境の変化に寄るところが大きい。世界では年間約13兆個の卵が消費されており、中でも日本はひとりあたりの消費量が世界第2位という卵消費大国である。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻による資材やエネルギー不足、さらに鳥インフルエンザの蔓延によって鶏卵価格は急激に高騰している。また、他の畜産同様に鶏の飼育には大量の水を必要とし、養鶏場を作るための森林伐採や排泄物から発生するガスによる地球温暖化など、環境への負荷も少なくない。子どもをを含めて卵アレルギーを抱える人たちも多いとあって、植物性卵の需要は高まっていたものの、代替肉や代替乳に比べて開発が遅れていたのが実情だ。その原因のひとつに先述した卵が有する機能性の再現の難しさがあったのだが、「ウマミ エッグ」がそれをクリアしたことで、今後代替卵の可能性は一気に広がった。
「ウマミ エッグ」は植物性原料のみでできたパウダー状で、豆乳と混ぜ合わせて使用するのが一般的。特殊なこんにゃく粉と豆腐作りに必要なにがりを使うことで、加熱によって凝固し、熱が入った卵独特の割れ感を表現することを可能にした。また、プラントベースフードにありがちなコクの少なさは、フードロスのきくらげから発酵技術を応用した麹抗菌の酵素を使用して旨味成分を抽出。卵の持つ濃厚な味わいとコクを巧みに再現したのだ。フードロスのきくらげと聞いてもピンと来ないかもしれないが、ここにもサステナビリティに基づいた確かな理由がある。太陽光発電を生み出すため農地に設置されたソーラーパネルの下では、日射が少なくても育ちやすいきくらげを栽培することが多い。ソーラーパネルの普及と共に増加したきくらげの供給に伴い、市場には出せない規格外のB級品に目をつけたという訳である。代替卵の旨み成分抽出とフードロス問題を1度に解決する彼らのアイデアと叡智、そして技術力の高さには目を見張るものがある。
今月、一般販売を開始した「ウマミ エッグ」だが、同時にその理念や志に賛同した企業とのコラボレーションを通じて、商品の認知拡大に取り組んでいる。ヴィーガンフルーツサンド専門店「浅草 鳩家」とのバレンタイン限定メニューもそのひとつ。「浅草 鳩家」は、卵、乳製品を一切使わずに豆乳から作る食パンと生クリームに、旬の新鮮なフルーツを合わせたサンドイッチが人気のお店。今回のコラボレーションでは、「ウマミ エッグ」のらくぷりんミックスから作ったカスタードクリーム入りのメニューを2月14日(火)までの期間限定で販売する。
他にも、昨年12月、下北沢にオープンした日本初のヴィーガン アメリカンチャイニーズレストラン「OSCAR(オスカー)」のメニューにも、「ウマミ エッグ」が導入されている。ニューヨークで愛されるローカルの古き良きチャイニーズデリと現代的な感性を織り交ぜたお店で「ウマミ エッグ」を味わってみてはいかがだろう。
「ウマミ ユナイテッド ジャパン」の創立メンバーは、学生時代や前職で経験した個々人の原体験が、ヴィーガンやベジタリアン、環境問題への憂慮、エシカル消費へと突き動かす原動力になっていると語る。大切な人たちと同じ食卓を囲むことがいかに根源的で幸せなコミュニケーションの形であり、美味しいプラントベース食の開発はそれに寄与するものだと信じている。彼らが目指す“美味しいからプラントベースを選ぶ、美味しいからワンテーブルで一緒に食べられる、美味しいから続けられる”という世界が、当たり前の日常になる未来はそう遠くはないのかもしれない。
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