NEW GENERATION, NEW WAVE
ABOUT OCT, 2024
未公開作品を含む約400点の作品,資料を展示!
伝説的写真家,中平卓馬の約20年ぶりの回顧展。
ART Dec 25, 2023
戦後日本を代表する写真家、中平卓馬の回顧展「中平卓馬 火―氾濫」が、東京国立近代美術館にて、2024年2月6日(火)より開催される。
中平卓馬は、森山大道や篠山紀信といった今なお第一線で活躍を続ける同時代の写真家を大いに刺激し、またホンマタカシら後続の世代にも多大な影響を与えた伝説的写真家。本展は、2015年に逝去した中平卓馬の没後初めてとなる本格的な回顧展であり、その50年近いキャリアの初期から晩年までを網羅した約400点の作品や貴重な資料を紹介するものである。
1938年東京生まれの中平卓馬は、もともと雑誌編集者であったが、1965年に写真家/批評家としての活動をスタート。1966年に森山大道と共同事務所を開設すると、1968年に多木浩二、高梨豊、 岡田隆彦を同人として季刊誌「PROVOKE」を創刊。“アレ、ブレ、ボケ”と評された、既成の写真美学を否定する過激な写真表現が注目され、当時の写真界に特別な存在感を示した。しかし、1973年の評論集「なぜ、植物図鑑か」では、一転してそれまでの姿勢を自己批判すると共に方向転換を宣言、そして、1977年に起きた急性アルコール中毒による昏倒とその影響による記憶喪失、そこからの写真家としての再起など、中平のキャリアは常に起伏に富んだものであり、劇的なエピソードによって彩られている。
そうした、強烈なパーソナリティや逸話がある種の中平卓馬像を固定し、本来の仕事の詳細を見えにくくするものであったことから、本展では改めて中平の仕事を丁寧に辿ることで、その展開を再検証することを試みる。特に1975年頃から始まり、途中病で中断を余儀なくされた模索の時期の仕事にも焦点を当て、再起後の仕事の位置付けについても改めて検討し直す。
個々の作品に目を向けると、2021年に東京国立近代美術館が収蔵してから、今回初めて展示される「街路あるいはテロルの痕跡」のヴィンテージプリントや、1976年にマルセイユで発表されて以来、これまで展示されることのなかった「デカラージュ」といった未公開作品を多数紹介。また、キャリア転換期における重要作となった1974年開催の「15人の写真家」展(東京国立近代美術館)に出品された48点組の大作「氾濫」や、中平存命中最後の重要な個展「キリカエ」(2011年)に展示された大判プリント64点など、カラー写真の重要作も一堂に会する。
写真表現と執筆活動という“実作”と“理論”という両輪からアプローチを続けた、中平卓馬の写真を巡る思考と実践の軌跡を本展で追体験してみてはいかがだろう。
会期:2024年2月6日(火)~4月7日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
東京都千代田区北の丸公園3-1
時間:10:00~17:00(金、土曜は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし2月12日、3月25日は開館)、2月13日(火)
観覧料:一般 ¥1,500、大学生 ¥1,000
*高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
*本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMAT コレクション」、コレクションによる小企画「新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》」もご覧になれます。
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.momat.go.jp